神棚板及び神具セット(神棚セット)の形態を模倣した商品を販売することが不正競争防止法違反にあたるとして、木製品雑貨メーカーが損害賠償などを求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和6.5.15)

 

判決は、不正競争防止法違反(2条1項1号)を否定した。

この判決で注目すべきことは、本件神棚セットの形態が商品等表示にあたるかである。

 

まず、不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品または営業を表示するもの」をいう。

 

商品の形態は、商標とは異なり、本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが、商品の形態事態が。特定の出所を表示するに至る場合がある。

 

商品の形態は、本来的には、商品の出所を表示する目的を有するものではなく、それが特定の出所を表示する「商品等表示」になるのは、

 

「商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、または極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている(周知性)場合であると解される。」とした。

 

そのうえで、原告神具セットは、ホームセンター、神具店、仏具店、神社、原告の直営店及びオンラインショップで展示、販売されていたところ、

 

主な販売先の1つであるホームセンターでは、原告の商品が多く取り扱われており、原告の商品が、まとまって展示、販売されている店舗もあった、

 

しかし、原告は、神具や神具セットについても多種類の商品を販売し、原告神具セットは、原告が販売する多くの種類の神具やそのセットの1つであり、その展示、販売に際しても、多種類の商品の中の1つとして展示、販売されているのであって、

 

原告神具セットの上記特徴が他の同種の商品とは異なることを述べる宣伝広告によって強調され展示、販売されていることも認めるには足りない。

 

これらからすると、「原告神具セットの展示、販売によって、原告神具セットの各商品に関する特徴1から9やその組合せが需要者に周知になっていたとは認められない。」として、商品等表示にあたらず不正競争防止法違反を否定した。

 

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