ファッション色彩能力検定試験のテキストを発行することが著作権侵害にあたるとして、専門学校の非常勤講師が勤務先の学校法人に損害賠償などを求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和6.3.25)

 

判決は、著作権侵害を否定した。

この判決で注目すべきことは、本件テキストの著作者に関してである。

 

まず、本件書籍の奥付には、「(c)Bunka Publising Bureau 2006 Printed Japan」との記載があるところ、

 

これは、本件計画案においてガイドブックの奥付に記載することとされていた「Copyright 学校法人文化学園」との記載に代わるものと理解される。

 

そうすると、本件書籍の上記奥付は、少なくとも本件書籍の著作権が「Bunka Publising Bureau」に帰属することを示すものと理解される。

 

「Bunka Publising Bureau」とは、「文化出版局」と和訳することが可能である。

 

また、本件書籍の奥付には、ほかに、「発売元」として本件財団法人の名称が記載されると共に、「発行」として被告文化出版局の名称が記載されている。

 

このような奥付の記載に加え、被告においては、被告の名称を明示的に付すことなく、「文化出版局」名義で書籍を出版している例があり、

 

その際には本件書籍と同様に「(c)Bunka Publising Bureau」との表示が奥付に存在することに鑑みると、本件書籍は、被告の著作の下に公表されたものと認められることなどから、

 

「本件において、『その作成時における契約、勤務規則その他に別段の定め』がないことは当事者間に争いがないことから、本件書籍の著作者は被告と認められる(著作権法15条1項)。」として、職務著作により学校法人を著作者と認定した。

 

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