海賊版サイト「漫画村」に作品を公開することが出版権侵害などにあたるとして、出版大手3社が運営者に損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和6.4.18)

 

判決は、出版権侵害などを認め、計17億円の支払いを命じた。

この判決で注目すべきことは、本件における損害額についてである。

 

まず、原告らは、原告らが有する作品に係る出版権または独占的利用権の侵害行為を行った被告に対し、出版権の侵害については著作権法114条3項に基づき、また、独占的利用権の侵害については同項の類推適用により、

 

本件作品の出版権または独演的利用権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己の受けた損害として、その損害賠償を請求することができるといえる。

 

もっとも、本件作品は、原告らが、別紙作品目録1~3の各「販売価格(税込)」欄記載の金額で、原告らまたは原告KADOKAWAの完全子会社の電子配信サイトで電子配信され、または、コミック等として販売されていたのである。

 

そうすると、原告らは、本件作品に係る出版権または独占的利用権に基づき、これらの販売による利益を受けていたものと認められる。

 

これらの事情その他本件に表れた一切の事情を総合的に考慮すると、本件において、被告らによる侵害行為に対し、

 

原告らが本件作品に係る出版権または独占的利用権の行使につき「受けるべき金銭の額に相当する金額」(著作権法114条3項)の算定にあたっては、

 

「販売価格(税込)」欄の金額から10%を控除した金額に、各作品の閲覧数を乗じた額とするのが相当である。

 

以上によれば、「本件において、原告らが『受けるべき金銭の額に相当する金額』(著作権法114条3項)は、別紙作品目録1~3の『裁判所認定損害額』欄記載のとおり、『販売価格(税込)』欄記載の金額から10%を控除した金額に、各作品の閲覧数7410回を乗じた金額と認めるのが相当である。」としている。

 

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