インターネットショッピングモール「アマゾン」で販売していた商品「簡易トイレ」が商標権侵害物品である旨の虚偽の申告を運営者にすることが不正競争防止法違反にあたるとして、出店者が損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地方裁判所であった。(大阪地裁令和6.3.18)

 

判決は、不正競争防止法違反(2条1項21号・信用毀損行為)を認めた。

この判決で注目すべきことは、本件商品に使用された標章が商標権侵害にあたるかである。

 

まず、「商標権侵害の判断の前提となる商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品または役務に使用された場合に、商品または役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決するべきであるが、

 

それには、使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品または役務の状況に基づいて判断される。」とした。

 

また、「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品または役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、

 

それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合等、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、

 

その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許される。」とした。

 

そのうえで、これらの標章は、「いつでも」、「簡単」、「トイレ」の文字から構成されているが、上記のとおり、

 

これらの文字部分は、商標の使用の方法や効能を表示するものや普通名称であり、出所識別機能を有しているとはいえないから、商標法26条1項2号の商標に該当するものと認められる。

 

よって、「これらの標章に被告の商標権の効力は及ばない。」として、商標権侵害を否定した。

 

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