非たばこ加熱式スティック(加熱式たばこ)の品質表示を偽装して販売することが不正競争防止法違反にあたるとして、雑貨メーカーが損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和6.2.21)

 

判決は、不正競争防止法違反(2条1項20号)を否定した。

この判決で注目すべきことは、本件表示が偽装表示にあたるかである。

 

まず、不競法2条1項20号は、商品や役務にその品質や内容を誤認させるような表示をし、またはその表示をした商品を譲渡等することにより、需要者の需要を不当に喚起するとともに競争上不当に優位に立とうとすることを防止する旨の規定であるといえるから、

 

「本件表示が本件商品の品質及び内容にについて誤認させるような表示にあたるか否かは、本件表示によって、本件商品について需要者の需要を不当に喚起し、被告らが不当に競争上優位に立つことになるか否かによって判断すべきと解される。」とした。

 

そのうえで、本件表示は、ニコチンの含有量を科学的な正確さをもって示す目的のものではなく、本件商品が含有する成分は茶葉と同様であって、本件商品に身体及び精神に悪影響を与える程度の量の成分を含有していないことを示す目的のものと考えられることなどから、

 

本件表示に接した需要者は、本件商品が、ニコチン含有の有無及びその量に関し、身体及び精神に与える影響との観点から、他の非たばこ加熱式スティックと比較して優れたものであると認識するものではないというべきである。

 

したがって、「本件表示が、本件商品についての需要者の需要を不当に喚起し、被告らが不当に競争上優位に立つことになるものであるということはできず、よって、本件表示が本件商品の品質及び内容について誤認させるような表示にあたると認めることはできない。」として、偽装表示にあたらないとした。

 

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