大手繊維メーカー「クラボウ」の元社員が、暴言を浴びせられるなどのパワーハラスメント(パワハラ)を受け退職を余儀なくされたとして、同社と執行役員に慰謝料を求めた訴訟の判決が大阪地方裁判所であった。(大阪地裁令和5.12.22)

 

判決は、パワハラによる会社と役員の連帯責任を認めた。

判決内容は以下のとおりである。

 

まず、前記1(1)ア、ウ、エ、オにおいて認定した被告Aの原告に対する言動は、被告会社のハラスメント防止規則の定めるパワハラにあたり、

 

「原告に対する注意や指導のための言動として社会通念上許容される限度を超え、相当性を欠くものであるから、原告に対する不法行為にあたるというべきである。」とした。

 

また、被告Aの前記言動は、被告会社の被用者であった間に、被告会社の事業の執行に関連してされたものである。

 

したがって、「被告Aは民法709条に基づき、被告会社は民法715条1項に基づいて、原告に連帯して損害賠償責任を負う。」とした。

 

なお、パワハラと認定した被告の言動等は以下のものである。

 

ア.被告Aは、令和3年2月1日に情報機器システム部の部長に就任した後、同年9月30日に原告が被告会社を退職するまでの間に原告に対し、「アホ」「ボケ」「辞めさせたるぞ」「今期赤字ならどうなるかわかってるやろな」といった言動を日常的に繰り返し行っていた。

 

ウ.被告Aは、令和4年4月または5月、顧客とのWEB会議終了後に、原告が座っていた椅子の脚を蹴ったことが1回あった。

 

エ.被告Aは、令和3年7月頃、原告が新入社員を指導していた際、WEB会議システムを介して、新入社員の目の前で、原告ほか1名を指して「こいつは無能な管理職だ。こんな奴らに教育されて可哀そうだ。これくらいのことができないのは本当に無能だ。」と発言した。

 

オ.被告Aは、前記アの期間において、原告に対し、被告会社において利用が認められているフレックスタイム制度や在宅勤務の抑制を示唆する言動をし、また、被告会社の規定で認められている宿泊費の定額精算を認めず、実費で精算すべきであると述べた。

 

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