アマゾンサイトに開設した仮想店舗に掲載された写真画像が著作権侵害である旨の虚偽の申告を運営者にすることが不正競争防止法違反にあたるとして、出店者が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が大阪高等裁判所であった。(大阪高裁令和6.1.26)

 

判決は、一審判決と同様、不正競争防止法違反(2条1項21号・信用毀損行為)を認めた。

 

この判決で注目すべきことは、アマゾンに著作権侵害の申告をするにあたっての注意義務(過失)である。

 

まず、本件各申告は、アマゾンがあらかじめ設けている知的財産権侵害を申告するための侵害通知フォームを利用して行われたものであるところ、

 

同フォームにおいては、申告者において、申告した画像や商品が申請者または権利所有者の権利を侵害する客観的根拠があり、かつ違法であることを確信していること、

 

当該申告に含まれる情報が正しくかつ正確であることを表明・保証することに同意した上で権利侵害を行うものとされている。

 

そして、アマゾンに対する権利侵害申告がされた場合には、アマゾンによって申告対象のコンテンツが削除されるなどしてアマゾンサイトへの出品自体が停止され、当該出品者が直接的に経済的損害を被ることが明らかであるから、

 

「侵害通知フォームによって著作権についての権利侵害申告をする者には、権利侵害申告をするにあたり、権利侵害の客観的根拠があり、かつ違法であることについて調査検討すべき注意義務を負っていると解すべきである。」とした。

 

以上を前提に検討するに、本件において、一審被告が著作権を有するとして本件各申告をした被告各画像のうち、被告画像3を除く平面的な被写体を忠実に再現しただけの写真といえる被告画像は、いずれも著作物性が認められないところ、

 

この種の写真に著作物性が認められないことは過去の裁判例において明らかにされ、これについては一般に異論も見られないところであるから、

 

控訴人が著作物性判断のため著作権について調査検討したのであれば、上記被告画像が著作物といえないことは容易に明らかになったといえる。

 

そうすると、一審被告がアマゾンに対して原告サイト上に掲載された原告各画像及び商品名が一審被告の著作権を侵害している旨申告すること(本件各申告)が虚偽の事実の告知にあたることは、

 

一審被告がその申告をするにあたり必要な調査検討をすれば容易に明らかになったといえるにもかかわらず、一審被告がこれについて調査検討した様子はうかがわれず、漫然と本件各申告をしたものと認められるから、

 

「一審被告は、権利侵害申告にあたって求められる前記注意義務を怠ったものというべきである。」として、過失を認定した。

 

一審判決についてはこちらで

 

 

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