インターネット上のグループチャット「Slack」(スラック)に虚偽の内容の投稿をすることが不正競争防止法違反にあたるとして、ソフトウェア開発会社が同業他社に損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和6.1.17)
判決は、不正競争防止法違反(2条1項21号・信用毀損行為)を認めた。
この判決で注目すべきことは、本件における過失である。
まず、ソフトウェアやITシステム開発に係る受注者の資質や能力に関する事項を公開することは、以後当該受注者が業務を受注できるか否かにかかわるものであるから、
「そのような事項を公開しようとする者は、虚偽の事実を記載して当該受注者の営業上の信用を害することがないよう注意すべき義務を負うというべきである。」とした。
本件についてみると、被告は、本件投稿部分1に関し、本件アナライザー案件において、原告が、被告の作成した仕様を評価する立場にあったとはいえないことから、
被告担当者からの質問に対し、一貫して、原告が「課題管理表」の項番13において指摘した事項の趣旨を説明しつつ、
本件アナライザー案件において原告が受注していない業務である仕様の評価にわたる事項については回答することができないとの趣旨を明確に回答しているにもかかわらず、原告担当者からの質問に明確に回答しないとの虚偽の事実を記載したことが認められる。
原告と被告とのやりとりは、Slack上に記載されており、被告が当該やりとりを確認することは容易であったといえる上、要約したものとはいえない記載をしていることを考慮すると、
本件投稿をするにあたり、虚偽の事実を記載することをならないようにその内容を慎重に検討することを怠っていたと認めるのが相当である。
したがって、「少なくとも被告において上記注意義務に違反する過失があったというべきである。」として、過失を認定した。
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