公正取引委員会は、「電力分野における実態調査報告書(卸分野について)」を公表した。

 

 

上記の報告書は、東北電力など大手電力会社と新電力事業者との取引の実態を調査したうえで、問題となったケースにつき独占禁止法・競争政策上の考え方が示されている。

 

その中で、「3 (各論)相対契約における契約条件の是正」において、大手電力会社が新電力との取引条件で独占禁止法上問題となる契約条項(取引制限条項等)として、以下の事項が明記されている。(72~74頁参照)

 

ア.販売禁止条項

 

旧一電発電等が、他の小売電気事業者に対して、販売禁止条項を設定すること(その実効性確保手段として、転売が発覚した場合に供給を停止するなどのペナルティを設けることを含む。)は、独占禁止法上問題となるおそれがある(拘束条件付取引)。

 

イ.供給エリア制限条項

 

(ア)自社エリア内制限

 

旧一電発電等が、他の小売電気事業者に対し、自社エリア内における小売販売を禁止することを条件とすること(その実効性確保手段として、自社エリア内における小売供給が発覚した場合に供給を停止するなどのペナルティを設けることを含む。)は、独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占、拘束条件付取引)。

 

(イ)自社エリア外制限

 

旧一電発電等が、複数のエリアで事業活動を行う他の小売電気事業者に対し、自社エリア外における小売販売を禁止すること(その実効性確保手段として、自社エリア外における小売供給が発覚した場合に供給を停止するなどのペナルティを設けることを含む。)は、独占禁止法上問題となるおそれがある(拘束条件付取引)。

 

ウ.供給量上限条項

 

(イ)需要実績値上限

 

供給量上限条項のうち、需要実績値上限を設定するものについては、例えば、需給逼迫時や卸電力市場価格の高騰時など、他の小売電気事業者が卸電力市場等の他の手段で電力調達を行うことが厳しい状況において、

 

旧一電発電等が、需要実績値上限を設定すること(その実効性確保手段として、調達量が過去の需要実績分を上回っていた場合に供給を停止するなどのペナルティを設けることを含む。)は、独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占、拘束条件付取引)。

 

何より、卸電力市場などで電力調達を行うことが厳しい状況下で、大手電力会社が供給量上限を設定することは、独占禁止法違反になるのだな!

 

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