自社の未公表情報に基づき知人2人に株式の売却を勧めたとして、金融商品取引法違反(取引推奨)の罪に問われた東証プライム上場の経営コンサルティング会社「IRジャパン」の副社長への判決公判が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和5.10.5)

 

判決は、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪とした。

判決内容は以下の通りである。

 

まず、本件は、上場会社の代表取締役副社長等を務めていた被告人が、同社が属する企業集団の売上高の予想値が、直近に発表したものより約14パーセント減少することを知り、

 

同社の株価が下落する可能性が高いと考え、知人女性2名に対し、同社の株式の売付けを推奨した事案である。

 

確実に損失の発生を回避させようと、上記予想値の発表までに、被推奨者らに対して繰り返し売却を勧めるなどしており、

 

被推奨者らは、合計1万1200株を合計約1億8000万円で売り付け、それぞれ約1800万円及び約450万円の損失を回避したものであって、金融商品市場の公正性・健全性や、それらに対する投資家の信頼を害する悪質な犯行といえる。

 

「交際関係にあり、被告人が勧めて同社の株式を取得させていた被推奨者らの損失を回避したいという身勝手な動機に基づく安易な犯行であり、上場会社の役員という責任ある立場の自覚を欠いていたと言わざるを得ない。」としている。

 

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