羽田空港の格納庫に関係する合同会社の職務執行者の立場で保管していた資金を流用したとして、業務上横領罪(刑法253条)に問われた元参議院議員への判決公判が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和5.7.19)

 

判決は、懲役4年の実刑とした。

判決内容は以下のとおりである。

 

まず、本件は、合同会社の職務執行者であった被告人が、本件格納庫に係る未払地代相当額の損害金等を支払うために管理していた資金のうち合計1億100万円を横領したという事案である。

 

被害金額が大きく、結果は重大であるが、被害弁償されておらず、現時点に至ってもなおその具体的な見込みは立っていない。

 

また、本件格納庫の売買のために設立された合同会社の職務執行者として、その業務全般を実質的に取り仕切る立場にあったことを悪用した犯行であり、合同会社の信頼を裏切っている。

 

弁護人は、被告人は運転資金を捻出するために、管理していた資金を不動産購入資金等に流用したものであって、私利私欲のためではないから動機に酌量の余地があると主張する。

 

しかし、被告人個人の遊興費等に費消されていないからといって、被告人に対する責任非難が大幅に減少するものではない。

 

以上によれば、「被告人には、合同会社の資金の使用について広い裁量を与えられていたとの弁護人の主張を踏まえても、本件犯情は悪く、被告人については相応の実刑は免れない。」とした。

 

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