ニコニ・コモンズ(ニコニコ動画関連サービス)で公開した楽曲をユーチューブに投稿することが著作権侵害(著作者人格権侵害も含む)にあたるとして、プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報の開示を求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和5.1.30)

 

判決は、著作者人格権(氏名表示権)侵害を認めた。

この判決で注目すべきことは、著作権法19条3項により氏名表示の省略が可能なものであったかである。

 

まず、被告は、原告が本件ポータルサイトにおいて、本件楽曲の利用を広く許諾しており、氏名表示を求めていないことに照らせば、著作権法19条3項に基づき、著作者名の表示を省略できると主張する。

 

しなしながら、原告は、本件ポータルサイトを通じて本件楽曲が利用される数に応じて、現に収益を得ていることが認められる。

 

そのため、原告は、本件投稿において著作者名が表示されずに本件楽曲が無断で利用されることにより、上記の収益を得る機会を失うおそれがあるといえる。

 

そうすると、本件楽曲の利用の目的及び態様に照らし、原告が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認めることはできない。

 

また、本件サイトで著作者名を表示しないことが公正な慣行に反しないと認めるに足りる証拠もない。

 

したがって、「本件楽曲の著作者名の表示は、著作権法19条3項の規定に基づき、これを省略することはできない。」として、氏名表示権侵害を認めた。

 

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