以前、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)による刑事罰の加重についてのブログを書いた。

 

 

それと関係し、実質的に経営破たん状態であったリゾート会員販売会社が預託金などを集めていたことが、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺罪)にあたるか争われた最高裁判所の決定(最判平成27.9.15)がある。

 

その内容は以下のとおりである。

 

まず、組織的犯罪処罰法3条1項は、犯罪にあたる行為が、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われる場合は、

 

継続性や計画性が高度であり、多数人が統一された意思の下に、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務分担に従って一体として犯罪を実行するという点で、その目的実現の可能性が著しく高く、また、重大な結果を生じやすいなど、特に違法性が高いところ、

 

詐欺を含む刑法の一部の罪については、このような形態で犯されることが多いにもかかわらず、その場合の法定刑として十分ではない考えられたことから、

 

このような犯罪を行った行為者を適正に処罰できるようにするため、刑法各条の加重類型を設けたものである。

 

このうち、組織的詐欺罪は、刑法246条(詐欺)の罪にあたる行為が、団体の活動として、詐欺罪にあたる行為を実行するための組織により行われたとき、その罪を犯した者について成立する。

 

組織的犯罪処罰法において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的または意思を実現する行為の全部または一部が組織により反復して行われるものをいう(同法2条1項)。

 

「リゾート会員権の販売等を目的とする会社であって、Cを始めとする役員及び従業員(営業員、電話勧誘員ら)によって構成される組織により営業活動を行うAが『団体』にあたることについては疑問の余地がない。」

 

そうすると、被告人はもとより、Cを始めとするAの主要な構成員にあっては、遅くとも平成21年9月上旬の時点で、Aが実質的な破綻状態により、集めた預託金等を返還する能力がないことを認識していたにもかかわらず、

 

それ以降も、上記ア記載の組織による営業活動として、B倶楽部の施設利用預託金及び施設利用料の名目で金銭を集める行為を継続したというのである。

 

「上記時点以降、上記営業活動は、客観的にはすべて『人を欺いて財物を交付』させる行為にあたることとなるから、

 

そのような行為を実行することを目的として成り立っている上記組織は、『詐欺罪にあたる行為を実行するための組織』にあたるというべきである。」として、組織的詐欺罪が成立するとした。

 

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