写真共有サイト「filkr」(フリッカー)に投稿されたインドの世界遺産であるエローラ石窟群のカイラーナ寺院を撮影した写真をインターネット上で違法に転載されたことが著作権侵害にあたるとして、損害賠償などを求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和2.12.23)

 

判決は、著作権侵害及び著作者人格権侵害を認めるものであった。

この判決で注目すべきことは、氏名表示権侵害の過失についてである。

 

まず、被告は、本件写真を有形的に再製し、原告の氏名の著作者名として表示することなく、本件写真について、公衆によって直接受信されることを目的として無線通信または有線電気通信の送信を行ったということができるから、

 

被告は、本件写真に係る原告の著作権(複製権、自動公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)を侵害したと認められる。

 

原告は、平成23年3月頃、写真投稿サイト「filkr」に、自らの氏名を著作者名として表示して、本件写真を掲載したことが認められる。

 

他方で、著作者の許諾なく本件写真を利用することができると被告が考えたことについて正当な理由が存在したことを認めるに足りる証拠はなく、

 

かえって、原告が本件写真を投稿した「filkr」上のウェブページには、「Some rights reserved」(一部権利保留)と明記されているのであるから、

 

同ウェブページ上で本件写真を閲覧した者は、通常、本件写真を著作者の許諾なく利用することができないと理解するものと認められる。

 

したがって、「被告が本件画像を掲載するにあたり原告の氏名を著作者名として表示し得なかったことは認められず、被告が本件サイト内で原告の氏名を著作者名として表示することなく本件画像を掲載したことについて、被告には少なくとも過失があったと認めるのが相当である。」としている。

 

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