過去の逮捕歴がTwitterで表示され続けるのはプライバシー侵害にあtあるとして、東北地方の男性が米ツイッター社に投稿の削除を求めた訴訟の控訴審判決が東京高等裁判所であった。(東京高裁令和2.6.29)

 

判決は、削除を認めた一審の東京地裁判決を取り消し、削除を認めなかった。

判決内容は以下のようになっている。

 

まず、個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となる、本件逮捕の事実も、第1審原告のプライバシーに属する事実であって、みだりに公表されないという法的保護を検討すべきである。

 

ツイッターに投稿された記事の削除を命じることは、ツイッター上の記事の投稿及び閲覧並びに付属の検索機能を通じて果たされている、インターネット上の情報流通の基盤としての役割に対する制約になる。

 

そうすると、「プライバシーに属する事実を含む投稿記事を、ツイッター上に表示し、一般の閲覧に供する行為が違法か否かは、当該事実の性質及び内容、当該事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、当該投稿記事の目的や意義、当該投稿記事において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と各投稿記事を一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断するべきである。」

 

そして、「第1審被告に対して、ツイッター上の投稿記事の削除を求めることができるのは、比較衡量の結果、当該事実を公表されない法的利益が優越されることが明らかな場合に限られると解するのが相当である。」とした。

 

以上の事実を総合すると、罰金の納付(平成▲年▲月▲日)から5年が経過して刑の消滅の効果(刑法34条の2)が発生し、その後更に3年近くが経過したこと及び第1審原告が本件各投稿記事が一般の閲覧に供されることにより各種の社会的な不利益を受ける可能性が消滅したわけではないことも考慮しても、

 

「被疑事実の内容や本件各投稿記事が公共の利益に係り公益目的で投稿されたこと、すでにグーグルなどの一般的な検索サイトでは本件逮捕の事実が検索結果として表示されることななく、具体的な不利益を受ける可能性が低下していることなどに鑑みれば、本件において、本件各投稿記事を一般の閲覧に供する諸事情よりも本件逮捕の事実を公表されない法的利益が優先することは明らかである。」としている。

 

後の上告審判決では控訴審判決を覆し、削除を命じております。

詳しくはこちらで

 

 

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