住宅の建設及び販売を目的としたフランチャイズ契約(FC契約)による債務不履行(契約違反)を理由に本部が加盟店に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が知的財産高等裁判所であった。(知財高裁令和元年9.18)

 

判決は、一審判決同様、契約違反を認め損害賠償の支払いを命じた。

この判決で注目すべきことは、逸失利益を請求するための要件である。

 

まず、民法上、損害賠償の範囲に関して、遺失利益のような消極的損害の賠償責任が認められるためには、

 

「被害者がその消極的損害に係る将来の利益を取得することが確実であることを要し、また、相当因果関係の有無からしても、因果関係に争いがある場合には、特定の事業が特定の結果発生を招来した関係が高度の蓋然性をもって是認し得ることが必要である。」とした。

 

本件の販社契約にもとでストックされた顧客情報は、将来ビックフット商品を販売することのできる可能性を含んでいるという意味において財産的価値を有し、

 

「この点からすれば、被控訴人らが各顧客に自らの提供する建物を販売したことは、上記の可能性を低下させまたは失わせるものとして、控訴人に対して財産的損害を生じさせたというべきである。」とした。

 

そのうえで、販売実績として、販売されたビックフット商品の契約額の平均が2000万円程度であること、他社競合商品を取り扱ったことに対する違約金として、請負金額の20%とする旨の本件違約金規定が有効に設けられ、違約金の額が400万円と算定される例があったこと、その他本件に現れた一切の事情を総合的に考慮し、

 

「民訴法248条により、相当な損害額は各建物につき100万円(合計200万円)と認める。」としている。

 

ちなみに、民事訴訟法248条の規定は以下のとおりとなっている。

 

第248条(損害額の認定)

 

 損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

 

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