相当思い切った策だと思うが、制度設計の善し悪しで思ったほどの成果が上がらず、単なる不評判を超えて失策扱いになってしまうことがあるから、ここは細心の注意を払う時だろうと思う。
あまりにも支給条件が厳しいと、現実には殆どの人が給付を受けられず、給付を期待していた人たちが不平不満を言い出すようになって、悪くするとトンデモナイ騒動になってしまう虞がある。
7割から8割の国民が現実に給付金を受領するようであれば、政府はよくやってくれた、という声が国民の間に広がるだろうが、実際に国からの給付金が国民の1割くらいにしか届かないということになったら、給付を受けられなかった方から不公平じゃないか、などという声が上がるのは必至である。
国民を分断するような結果となるのなら、結果的にやらない方がよかった、ということにもなりかねない。
世帯ごとに支給するというのは一つの考え方ではあるが、世帯ごとに収入の減少割合を計算するというのは結構面倒だし、当該世帯に給付された給付金を世帯構成員の間でどのように分配するかという難しい問題を惹起することになるかも知れない。
良かれと思った施策が新たな社会問題、それぞれの世帯の中での新たな紛争を引き起こす引き金になってしまった、というのでは本末転倒だろう。
国民の生活不安を少しでも和らげるための救済マネーだったら、その趣旨に沿うような給付の仕方を考えるべきである。
ここは、マイナンバー制度と紐付けして、個別支給に考えを改めた方がよさそうである。
いったい、世帯給付の発想は、どこから来たのだろうか。
どこかで世帯単位で各人の所得を把握している機関があるのだろうか。
多分、財務省の発想ではないはずだ。
ここは、野党の提言も参考にして、より国民に歓迎されやすい制度にした方がよさそうだ。
まだ間に合うはずである。