弱い人たちに詰め腹を切らせて、逃げてしまうのかしら | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

まあ、誰かを守ろうとして決裁済み文書等の改竄や廃棄を実行したのだろうが、考えてみれば気の毒なものだ。

ご本人たちには何の得もないのに、ひたすらどなたかを守ろうとしてこんなことまでやってしまった。
初めはさぞ良心が咎めただろうに、と思うが、人は一度矩を超えてしまうとすっかり自分の判断基準が狂ってしまい、善悪の区別がつかなくなり、上司から命じられるままに行動するようになってしまうもののようだ。

まるで、ロボットである。

ロボットのように行動することに慣れてしまうと、本当にロボットになる。

ロボットのように行動することに違和感、抵抗感がありながら、結局はロボットのように行動せざるを得なかった人は、いつしか心を病んで、組織から脱落していく。

財務省は、そういうロボットを製造する組織に墜ちてしまっていたようだ。
そういうロボットを大量に製造し、そのことに何らの違和感も感じないで淡々と自分に与えられた職務を遂行した人が能吏として評価されて出世の階段を上った、ということだろう。

適材適所だ、この人ほど有能な人はいない、などと頻りにその出世した当人を褒め称えた人たちがいる。

その賞賛ぶりは、傍目から見て如何にも異常だった。

ご本人たちがどこまでのことを知っておられたのか分からないが、結果的にはその賞賛で出世した人の誤った一連の行動を追認し、正当化したことになる。

報道によると、6月4日に一斉に懲戒処分が発令されるようである。

懲戒処分を発令する人は、どうやら自分には何の責任もない、と知らぬ顔の半兵衛を極め込むそうだ。

公務員としての矩を超え、法を犯してまでして一生懸命守ろうとした人たちだけが厳しいペナルティの対象となり、肝腎の守られたご本尊たちは知らぬか顔の半兵衛を極め込む。

まあ、なんと理不尽なことか。

停職相当の判定を受ける人は、きっと実直な人だったのだろう。
実直過ぎて、反って自らロボットになってしまったのだろうと思う。

財務省の官僚は人一倍優秀で仕事が出来る人たちだ、と言われてきたが、どうもそうではなかったようだ。

彼らだけが処分の対象になることがどうにも納得できない。

弱い人たちだけが詰め腹を切らせられることが、私にはどうしても納得できない。