難しい案件について相談を受けた時に1分でそれなりの対処方針を決めることが出来るか、が肝である。
ああ、これは助けられないな、と思えば、その時点でそれなりのアドバイスをしてあげなければならない。
うん、これは助けられそうだ、何とかなりそうだ、ということになったら、そういう見通しをなるべく早く出してあげることだろう。
うーん、もっと詳細な事実が分からないと今の段階では何とも言えないな、というのが大半の事例なのだが、これもある程度の事実が確認できると大体の対処方針が決まる。
やってみないと分かりませんね、と言わなければならない事案もそれなりにあるのだが、まあ15分も話を聞いていると、何となく結論を導く道筋が見えてくる。
辞任を表明した財務省の事務次官の応答ぶりは、私から見ると拙劣そのものである。
全部聞いてもらうと分かる、全部見てもらうと分かる、などと防戦に努めているが、こういう言い方では何の盾にもならない。
おいおいおい、ノーガードだよ。
そんな言い方をしていると、火の手が益々大きくなるだけだよ。
そう、言ってあげたいのだが、頭に血が上ってしまっているご本人には何も耳に入らないのだろう。
最強官庁と言われている財務省の事務方のトップにまで上り詰めた人だから、それなりに出来る人だと思うが、豪胆さを示し続けてきたために繊細さや周到さをどこかに置き忘れてきたのだろう。
頭がいい人だと言われてきたのだろうが、どうも賢明ではなさそうだ。
事務次官職を担当することになっていると言われている官房長もどうやら同じ類型の人らしい。
官房長は官房長らしく言葉にもっと注意すればいいのに、と思うが、これが現在の財務省の素顔なんだろう。
問題を抱えているのは、どうやらトップだけではないらしい。
気の毒なことである。