憲法改正発議の機運は高まっているのか、それとも減退しているのか | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

憲法改正の発議はもう無理なんじゃないか、などという観測が識者の間から出ているようだが、私は憲法改正発議のための環境は着々と整えられてきていると思っている。

自民党は、3月の党大会までに自民党の現時点での憲法改正案を取りまとめる。

憲法9条についての改正案についてだけは自民党内での議論が大きく分かれるだろうが、石破さんがどんなに頑張っても石破私案を自民党の憲法改正案にすることは出来ない。
自民党の総裁である安倍総理が既に昨年の段階で自民党が野党時代に纏めた憲法改正草案を事実上撤回する方向性を示しているのだから、自民党憲法改正草案の内の憲法9条改正案の起草者である石破さんがいくら修正案を出してみても、安倍総理が予め設定した天井を超えることは出来ない。

自衛隊を憲法上の組織として規定することが今回の憲法改正発議の動機なのだから、安倍総理としては議論の対象を拡げたくないはずである。
石破さんは議論の対象も広げたいだろうし、議論そのものももっと深掘りしたいだろうが、安倍総理も、官邸も、自民党の執行部もそれを望まない。

自衛隊が違憲の存在だという憲法学者等の意見を封じ込めることが出来る程度の憲法改正が実現すれば、目下のところそれで十分だ、ということのようだから、石破さんはいずれ自民党の中では孤立無援に近い状態に追い込まれて行くはずだ。

憲法改正の発議までには何回も世論調査が行われ、その都度大骨や小骨が取り除かれて行くだろうから、憲法改正の発議に至った時にはごくごく無難な内容に落ち着いているはずだというのが私の見立てである。

国民の間に憲法改正についての熱が高まっているかどうか、と問われれば、いや、大方の国民は醒めていますよ、と言わざるを得ないが、それでは、国民は憲法の改正に絶対反対なのか、憲法改正反対運動が高まるような機運があるのか、と問われれば、いや、そういうことはどうもなさそうですよ、この程度の憲法改正なら、してもいいししなくてもいい、ぐらいのところじゃないですかね、と答えるところである。
実際に憲法改正の発議がなされれば、国民投票に参加した国民の過半数は賛成に回る。

この程度で憲法改正発議の機運が高まっていると言っていいのかしら、とは思うが、私が見ている限りでは、憲法改正の発議には必ず至る。

それでもいいんじゃないか、というのが私の意見である。