11年前に上手く戻れるかしら?ちゃんと機能するか私のタイムマシン | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

温故知新という言葉を聞く機会は、最近はまったくない。
故き(ふるき)を温ねて(たずねて)新しきを知る、という意味だが、ごく真面目な学者や研究者を除いて、皆さん、あまり古いことを引っ張り出してあれやこれや詮索されることは少ないようだ。

10年一昔と言われているので、11年前のことだと言えば覚えている人は少ないだろうし、思い出そうとする人も少ないだろう。

テロ準備罪と言っている人たちは、11年前のことなど今の自分たちにはあまり関係ないことだと思っておられるかも知れないが、私にとってはそう簡単には忘れられないことだ。
しかし、その私でも11年前のことを詳細に覚えているかと言えば、そんなことはない。

タイムマシンにでも乗らないと、そう簡単には11年前には戻れない。
11年前に上手く戻れるかしら?ちゃんと私のタイムマシンは働くのかしら、というのが、目下の私の心配である。

11年前にどこまで議論を深めたのかしら、ということを懸命に思い出そうと努力しているところである。
最近は身辺の整理でどんどん古いものは捨てて行っているので、記憶していることもどんどん風化し、いつしか消えて行ってしまっている。
思い出そうとしても、実は本当のことは大体忘れている。
資料があれば、その資料が記憶喚起の引き金になって様々な記憶が蘇ってくるのだが、11年前の衆議院法務委員会での質疑や法務委員会理事会での細かいやり取りなどはなかなか蘇ってこない。

へー、こんなことまで検討していたんだ、などと私自身が驚くほどに、11年前には実に丁寧に議論していた、という資料が出てきた。

先日、その一部だけをご紹介していたのだが、いよいよ参考人として国会に呼ばれることになったので、その全文をご紹介する。
平成18年6月16日の法務委員会の議事録に参照掲載された自民・公明修正試案に明記された配慮事項と留意事項である。

今、改めて読み返すと、表現にこなれていないところが散見され、今の私だったらもっと手を入れるだろうな、と思うが、当時としては相当丁寧に修正案の作成に奔走していたことが分かる文章になっている。

さて、今国会でこうした配慮規定や留意事項は蘇るだろうか。

「(配慮規定)
4 第1項及び第2項の規定の適用に当たっては、思想及び良心の自由並びに結社の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず、かつ、労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。

(留意事項等)
改正法附則
(組織的な犯罪の共謀の罪についての留意事項等)
第30条 第3条の規定による改正後の組織的犯罪処罰法第6条の2第1項及び第2項の規定の適用に当たっては、これらの規定が一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し及びこれと戦うための協力を促進することを目的とする国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を実施するために定められたものであることにかんがみ、同条約の目的を逸脱することがないように留意しなければならず、いやしくもこれらの規定を拡張して解釈するようなことがあってはならない。

2 当分の間、第3条の規定による改正後の組織的犯罪処罰法第6条の2第1項及び第2項の規定は、長期5年以下の懲役又は禁固の罪が定められている罪に当たる行為の遂行については、特に慎重に適用されなければならないものとするとともに、当該共謀に係る同条第1項及び第2項の規定の施行の状況については、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置が講ぜられるものとする。

3 第3条の規定による改正後の組織的犯罪処罰法第6条の2第1項又は第2項に規定する共謀をした者がその共謀に係る罪を犯したときは、当該罪を定めた規定により処罰され、同条第1項又は第2項の規定により処罰されないことに留意されなければならない。」