絶大な人気を博していた名優の剥落ぶりを見るのは、忍び難いことである。
出来ることならもう一度舞台に立っていただき、最後の決め台詞を言ってもらって拍手喝采でみんなで送りたいものである。
小池さんに一太刀浴びせたい、という気持ちが先立ってしまったのだろうか、やはり昨日の都議会100条委員会での石原さんの答弁は大方の聴衆には受けなかったようである。
決して老醜を晒したわけではないが、大方の聴衆を感動させもしなかった。
証人喚問に立った都議会議員の皆さんも得点しなかったが、石原さんも昨日の証人喚問を終えて特に人気が上がるようなこともない。
漢気(おとこ気、侠気)を示すつもりだったら、石原さんはもう一度舞台に立って次のように述べられたら如何だろう。
「部下を信じてすべてを任せてしまい、何のチェックもしようとしなかった私が悪かった。
豊洲移転の結論自体は当時の判断としていささかも間違っていなかったと信じているが、自分の不見識のために豊洲市場の安全・安心の水準をあまりにも高く設定し過ぎてしまったかも知れない。
豊洲市場の操業開始のための安全・安心の水準は私の後任の知事の舛添君が設定し直した水準ぐらいで丁度良かったのではないかと思う。
舛添君が知事を辞職せざるを得ないような状況となり、舛添君の設定し直した水準が白紙になり、結局小池さんは私が設定したハードルが高過ぎる水準での豊洲市場の操業開始を目指さなければならなくなったことの遠因は、私にある。
しかし、今改めて考えるに、私の設定した安全・安心水準は間違っていたと思う。
豊洲移転を心待ちにしておられた関係者のことを考えると、胸が張り裂ける思いである。
一日も早く豊洲移転を実現していただきたい。
今日の事態を招いた責任は、私にある。
もはや私には何の欲もない。
私の判断について何らかの法的責任があるというのなら、その責任を他人に転嫁しようとは思わない。
小池さん。お願いだから、一日も早く豊洲問題を解決していただきたい。」
私は、石原さんにもう一度男の花道を歩いていただきたいと願っている。
石原さんが議員在職25年の永年勤続表彰の挨拶の場で議員辞職を表明した時の、あの見事な演説をもう一度聞いてみたい。