自民党法務部会内小委員会は、10年前にテロ・組織犯罪謀議罪の対象犯罪を大幅に削減していた | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

10年前のことは、もう時効になって皆さんお忘れになっているのだろうか。

10年前の平成19年2月20日に自民党本部で自民党法務部会条約刑法検討小委員会が開催され、現在国会やマスコミで大議論になっている共謀罪について、罪名を「テロ等謀議罪」、対象犯罪をテロ犯罪、薬物犯罪、銃器等犯罪、密入国・人心取引等犯罪、その他、資金源犯罪など、暴力団等の犯罪組織によって職業的又は反復的に実行されるおそれの高い犯罪(典型性が高いと考えられるもの)等に限定するとの成案を得た。

あくまで小委員会限りの成案ではあるが、当時の法務省と外務省の担当者と何度も検討して練り上げた成案で、この通常国会で本当に国際的犯罪防止条約締結のための国内法整備をするのだったら、せめて10年前の自民党法務部会小委員会での審議を反映したものにして欲しかったのだが、どうも今の内閣にはそこまでの準備はなかったようだ。

条約刑法検討小委員会の委員長は、総務会長を務められた笹川堯衆議院議員で、事務局長が私だった。

いずれも平成21年の衆議院選挙で落選し、国会に議席がないために発言の場がないためにその後の自民党内での検討作業に関与できないまま今日を迎えているが、あの当時の自民党内部での実に真摯な検討作業にこれまでどなたも言及されていないのは実に遺憾なことである。

これはいかん、いかん、と言っても詮方ないが、私としては現時点で共謀罪の議論を再開するのであれば、少なくとも10年前の議論の水準は維持していただきたいと願っている。

当時の議論の詳細を知っておられる方は、残念ながら現在の国会には殆どおられない。

まだ法案の中身が明らかになっていないので、今の段階では黙っていた方がいいのかも知れない、と思ってほんの触りだけ言及したのだが、いつまで待っても隔靴掻痒の感が拭えない。

あちこちの新聞社から私のコメントを求めて来始めているので、とりあえず最低限の大事な情報だけ公開しておくことにする。