寸止めの妙技かしら | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

台湾籍の離脱届の受理は日本政府としては無理ということになるのではないかと思っていたが、案の定蓮舫さんの台湾籍離脱届けは受理されなかったようである。

日本政府は、中国との国交回復の条件として「一つの中国」路線を取ることとしたので、戸籍事務を所管する法務省は、台湾を国家として扱う結果となる蓮舫さんの台湾籍離脱届けは受理しないことにせざるを得なかったのだろう。

蓮舫さんも台湾当局もやることはちゃんとやったのだが、日本の法制度が台湾籍の離脱届の受理を許さない、ということだから、蓮舫さんにも台湾当局にも何の非もない。

この問題について蓮舫さんを責めるのは、ほどほどにされた方がいい。
問題の根っこは、日本の法制度の方にある。

私は台湾を国家として認めればいいじゃないか、という派に属しているのだが、中国政府が一つの中国路線に固執している時に、台湾を国家として承認することが今の日本政府に出来るとは思わない。
不条理なことは重々承知しているが、ここは便宜的な措置で凌ぐしかないだろうな、と考えている。

折角日本の国会議員として日本国と日本国民のために自らの人生を捧げようと決意したはずの蓮舫さんにとっては今回の一連の事態は相当不本意なはずである。

蓮舫さん個人が悪いというよりも、日本の法制度、日本のシステムに欠陥があるのだから、これ以上蓮舫さんを責めるというのは酷というもの。

ほどほどに、ほどほどに。

自民党の皆さんは、蓮舫さんの二重国籍問題が相当に深刻な問題である、ということが分かっていて、あえて追及してこなかったのだと思う。

日本維新の会やにほんの心の皆さん、更にはアゴラに結集されている何人かの識者の皆さんは、嵩にかかって蓮舫さんを追及され、些かもその追及の手を緩めようとされていないが、私は、今の自民党ぐらいの鷹揚な態度で接するのがいいのではないかと思っている。

いつでも相手を葬り去ることは出来るが、あえて今はそうしない。
いわば刀の切っ先が相手の喉元にまで達しているのだが、そこで止めておく、ということだ。

相当の名人上手でなければ出来ない技である。

寸止めの妙技。

自民党は、今、それを私たちに披露しているのではなかろうか。