産業法務研究会の新しい挑戦ー「日弁連『海外贈賄防止ガイダンス(手引)』の問題点 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

あれをすればいい、これもすればいい、と思いながら、ものぐさな私たちは結局何もしないで徒に時を過ごしてしまう。
いいことが分かっていればやってしまえばいい、と思うのだが、いいと思うだけではなかなか行動に結びつかないものである。

結果を出す人と出さない人の違いは、どこにあるか。

やるかやらないか、やり方が分かっているか分かっていないか、やることで本人に何かメリットがあるかないか、の違いなのだろう。
私自身は、今は自分からは動くことはしない。
動いた方がいいかな、と思う時はあるが、動かなければならないという強いインセンティブが今はなかなか働かない。

しかし、いいことをやろうとしている人からお誘いがあれば、基本的に断らない。
少なくとも、いいことか悪いことかの判断ぐらいは付くから、出来ればいいことをしたいという願いはずっと持ち続けている。

私が若い方々との触れ合いを大事にしているのは、若い方々にはものぐさな私たちを突き動かすような何かを持っている人が多いからである。

何かしらいいことに向かって努力しているが壁にぶち当たって伸び悩んでいる人や、ほんのちょっとした支えがあれば前へ進めそうな人を見かけた時が私の出番である。
自分では絶対に動かせないものだが、誰かが一生懸命動かそうとしている時にほんの少しだけ加勢すると物事が動き出すことがあるから、本当に物事が動き出した時は自分がそれなりに役に立ったことを実感できる。

まあ、最後のひと押しのようなものだ。

産業法務研究会がまさにその一つの例である。
また自画自賛している、とか、やっぱりじがじーさんだ、などと揶揄される人が現れるだろうが、今は産業法務研究会を起ち上げてよかったなあ、としみじみ思っている。

平川博さんから一冊の資料の送付がなければ、絶対に産業法務研究会などという団体を設立することはなかっただろうし、送付された資料を私が読まなければ、その内容の素晴らしさに気が付くことはなかっただろう。
送付された資料の奥書を見て、初めて著者の平川博さんがスモン訴訟で製薬会社側の法務担当者の一人で、かつて私が弁護士として一緒に仕事をしたことのある仲間の一人だということに気が付いた。
おう、あの平川さんか、と思って電話をしたのがすべての始まりだった。

いいレポートだ。仲間を集めて研究会を開かれたら如何か、と提案してみた。

今日、産業法務研究会の第32回月例研究会が開催された。
やっとここまで来た。
産業法務という季刊誌を発行しているが、9月に臨時増刊号を発行することを決めた。

臨時増刊号のテーマは、「日弁連『海外贈賄防止ガイダンス(手引)』の問題点」である。

弁護士会の会務にどっぷり漬かってきた弁護士の一人として日弁連に挑戦するような書籍を発行するのはどうかしら、と多少躊躇するところもあったが、やはり日弁連の海外贈賄防止ガイドライン(手引き)には看過できない問題点がありそうだな、と思って出版を決意した。

日弁連が作成・公表したガイドラインの問題点を具体的に指摘する研究書だから、関係者には相当の刺激を与えるだろうと思っている。
産業法務研究会の新しい挑戦だと考えていただければ幸いである。

ほんの触りだけ皆さんにご紹介しておく。

「はじめに

昨年7月30日に経済産業省の「外国公務員贈賄防止指針」(以下「本指針」)が改定されました。それから1年後の本年7月15日に日本弁護士連合会(日弁連)の「海外贈賄防止ガイダンス(手引)」(以下「本手引」)が公表されました。

ところで、産業法務研究会(以下「産法研」)では、昨年7月に出版された「海外の具体的事例から学ぶ腐敗防止対策のプラクティス:各国最新情報と賄賂要求に対する効果的対処法」(日本加除出版)の出版を記念して、同書の著者である村上康聡弁護士を講師とし、「国際的な犯罪リスクへの企業対応」というテーマで、同年9月16日に第2回産業法務セミナーを開催しました。

この度公表された本手引について、急遽、「『日弁連海外贈賄防止ガイダンス』の問題点」というテーマで、前回と同じく村上康聡弁護士を講師として、本年8月4日に第3回産業法務セミナーを開催しました。講演後に意見交換を行ったところ、多岐にわたって指摘された本手引の重要な問題点について、本誌で特集記事として編集し、掲載することになりました。」