さて、皆さん、違憲立法審査権はどういう場合に発動されるかご存知かしら | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

こうやって議論が深化していくのは悪いことではない。

皆さんのご意見をどんどん発信していただきたい。
小林よしのり氏が違憲と言おうが合憲と言おうが、言うだけなら何の害もない。
どの意見が正しいかは、いずれは分かる。

憲法無効論を主張される石原慎太郎氏のようなものである。
憲法無効論を石原氏が主張されても、それで憲法が無効になることはない。

小林よしのり氏が違憲論を展開されても、それで違憲になるわけではない。
同じように、私が合憲論を唱えたからと言って、それだけで合憲になるわけではない。

最終的には裁判所、それも最高裁判所が違憲という判決を下さなければ違憲だということの確定は出来ない。
私たちにできることは、裁判所がどういう判決を下すか予想し、裁判所の下すであろう判決に自分の感想を若干付与する程度のことである。

如何に国民の影響力がある小林よしのり氏皇室典範特例法の制定は違憲だと言っても、それでは裁判所が本当に違憲の判決が出すかと言えば、まずそういうことはない。
まずもって誰が違憲無効の裁判を起こすか、という問題がある。

抽象的な違憲立法審査はなく、個別具体的な権利侵害がなければ違憲立法審査権は発動されないというのが現在の裁判所の取り扱いだから、小林よしのり氏がいくら違憲だと大声を上げても裁判所が取り上げるとは思えない。
特に立法府である国会が特別立法で決めたことを個別具体的な権利侵害がないのに裁判所が引っ繰り返すようなことは考えられない。

多分特別立法の形式を採用することになるのだと思うが、だからと言って特別立法の方式を進めた人たちを国賊だとは言えない。
その逆に、皇室典範の改正を提唱した人たちが愛国者だ、などとも言えない。

まあ、こういうことについて国賊だ、とか愛国者だなどとことさらに言い出すのが不都合なのであって、私の小林よしのり氏に対する苦言はその限りのものである。
ご理解いただけるだろうか。