東京では、浮動票こそが民意のバロメーター | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

自分が組織票の中の一票になってしまえば、自分自身では物を考えなくて済むようになるから、まあ、楽と言えば楽である。

組織に属している人の投票行動なんていうものは実に気楽なもので、組織が右と言えば右、左と言えば左と簡単に舵を変える。

この段階で鳥越さんの街頭演説を聞きに来る人は殆どが組織の人だと思う。
組織が鳥越さんと決めたから鳥越さんの応援をするだけで、多分鳥越さんがどういう人であるのかにはあまり関心がない。
週刊文春や週刊新潮にどんなことが書いてあっても、組織の人の言葉の方が重く、組織の人が言うことと違った話が出てきても大体は聞く耳を持っていない。
聞けども聞こえず、見れども見えず、の状態になっているから、組織に属している人にどう説得しても大抵は徒労に終わる。

鳥越さんについては連合は自主投票だそうだから、比較的冷静な判断、自分で情報を集め、自分の考えで投票相手を決めるのは連合の人たちだろう。
連合という組織に属しているから連合の人も普段は組織票の一つにカウントされるのだが、今回の都知事選挙に関しては連合の人は浮動票だと言っていいだろう。

組織票がどれだけあるだろうか、と考えると、案外東京では組織票は少ない。
自民党でも然りである。
党員1000人確保のノルマが課せられていて、果たして何人の党員を確保できるか、と言えば、なかなか3ケタに乗せるのが大変である。
頼み込んで党員になってもらった、とか、党費は誰かがまとめて払っている、などということがしばしばある。

自民党がいくら組織の縛りを掛けようとしても、自民党の場合は大体は尻抜けになりやすい。
自民党であっても、実は浮動票が大半だと思っていた方がいい。
縁がある人の応援には熱心だが、上の誰かが決めたからと言って下のみんなが黙ってついていく、などということはない。

まあ、組織の然るべき役職に就いている人たちの場合は組織の縛りは絶対的だと言ってもいいが、一般の党員まで縛ることは殆ど不可能である。

まあ、8割から9割は浮動票ですね、というところである。
しかし、この浮動票が決定的な役割を果たす。
言葉は浮動票で如何にも軽そうだが、実は結構重い人たちである。
自分で情報を集め、自分の判断で物事の良否や善悪を見極めることが出来る、極めて賢明な人たちがこの浮動票の中に存在している。

浮動票だから、などと決して侮るべからず。
案外、浮動票こそが良識の塊、みたいなことがある。

今回の東京都知事選挙は、結局は浮動票と呼ばれる人たちが決めるのだと思う。

浮動票を疎かにした陣営が苦い酒を飲むことになるのは、仕方がないことである。