選挙運動期間中の週刊誌の醜聞報道の在り方を考えるーまずは週刊誌の自制を求める | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

選挙運動期間中における単なる醜聞報道は、醜聞報道の当事者の反論権行使の機会を事実上奪っている時期を狙ってなされるもので、明らかにフェアではないし、かつ選挙結果を大きく左右し、取り返しがつかないから、すべきではない、というのが私の基本的な考えである。

醜聞報道は、決してニュースではない。

ニュース性があるものなら、取り上げた事件の背景説明として新聞が取り上げない周辺事情などをある程度詳細に記述することは許されるだろう。
しかし、候補者が逮捕されたとか起訴された、あるいは交通事故を起こした、傷害事件等を起こした等の事情が一切ないのに関わらず、真偽が確定していない段階での過去の淫行疑惑を興味半分で週刊誌等に書き散らすようなことは許してはいけないと思う。

書かれた相手が公職の候補者だから、書かれた内容が事実であれば、たとえ名誉棄損であってもその記事には公益性があると認定されるだろうが、しかし、名誉棄損の罪には該当しなくとも選挙の公正さを害する選挙の自由妨害罪には該当する虞がある。

週刊誌の売れ行きには貢献するだろうが、たとえ週刊誌であっても選挙の公正さを害するような行為には加担すべきではない。

書かれてしまった以上はもはや適当な対抗手段、対応手段はないのだが、たとえ一般の国民にとっては知りたい情報であっても、選挙期間に突入した以上は選挙が終わるまで待つのが筋である。
有権者の方々が間違った選択をしないように真実を一般の国民に知らしめるのがジャーナリズムの役割だ、などと開き直られても困る。
そういう大事な情報だったら、選挙の公示の前に記事にすべきであり、少なくとも当事者に十分反論の機会を与えるべきである。

選挙の公示前だったら、当事者の方は十分弁明の機会を持てるだろうし、虚偽の申し立てだったらその虚偽を立証することも出来たかもしれない。
仮に否定しがたいようなものであったら、そこで立候補を取りやめればいいだけの話で、選挙戦が始まってからおもむろに記事にするのは何らかの底意があってのことだとしか思えない。

選挙の真っ最中に過去の淫行らしきものを書き立てられては、仮に何らかの対抗措置を執ることが出来たとしても、結果が出るのは選挙が終わってからになる。
ああ、これは悪質な選挙妨害になるな、というのが私の率直な感想である。

週刊誌のこういう暴走はいけない。

まあ、私などがいくら週刊誌に自制を求めても何の足しにもならないだろうが、この際選挙期間中の週刊誌の醜聞報道の在り方についてしっかり検討した方がよさそうだ。