ごくごく私的なご報告をしておく。
これまで非常勤講師を務めていた国士舘大学大学院で今年は客員教授に任命された。
任期は、来年の3月15日までである。
担当講座は、救急法学特論である。
救急法学の分野は未開拓の学問分野だと言っていい。
法律研究者、学者の間で救急法学を専門にされている方は殆どいない。
そういう分野だからこそ、行政、司法、立法のそれぞれの分野の第一線で仕事をしてきたという私の経験や経歴が生きるのだろうが、博士課程まである専門職大学院の客員教授に選任いただいたのは私にとって大変な名誉だと思っている。
考えてみると大変な役割である。
救護救急の分野について法的、社会的基盤を構築するための基礎的な作業を行うのが、救急法学特論だろうと思っている。
救急救命士法の所管省庁は厚生労働省と総務省だが、行政的な観点からだけ救急救命士法を見ていると大筋を見誤る虞があるだろうと思っている。
その一方で、医療の観点や医師法の視点からだけ見ていても足りない。
日本の救急救命士制度はどうあるべきか、救急救命士はどうあるべきか、という総合的な視点から現行の救急救命士制度の現状と問題点を考究し、その改善のための具体的方策を探求することが救急法学特論という新しい学問分野に期待されていることだろうと私は思っている。
まだ緒に就いたばかりの学問分野である。
出来るだけ頭を柔らかくして、臨みたいと思っている。
いつかは大学で教鞭を執れるようになりたい、と思っていたのは、今は昔、50年ほども前のことである。
あれこれやりたいことが多過ぎて学問の道を選ぶことはしなかったが、学究的な生活に憧れがなかったわけではない。
十分な学識が伴っていないためになかなかチャンスが回ってこなかったが、こんな形で一歩前に踏み出すことになった。
昨年非常勤講師としての定年を迎えたということで非常勤講師としての再任はないとの通知を受けていた。
しかし、余人をもって代え難い、というありがたい一言で、今度は客員教授という仕事を頂戴した。
とりあえずは任期は来年の3月までだが、ご要請があれば自分の状況が許す限り続けさせていただこうと思っている。
さあ、これからである。
私にとって、毎日が新しい挑戦である。