多分、民主党の議員の質問の仕方が悪かったのだろう | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

2月8日の衆院予算委員会での高市早苗総務大臣の答弁を如何にも問題発言のように取り上げておられる方がおられるが、どうも高市大臣の発言を無理やり捻じ曲げ、意地悪く受け止めてあえて批判の対象にしてしまっている感がある。

たしかに高市大臣は、放送局が政治的な公平性に欠ける放送を繰り返した場合の電波停止の可能性に言及してはいるが、全体の趣旨としては安倍内閣においてそこまでの権限を発動することはない、と極めて常識的な回答をしているように思えるのだが、民主党の議員としてはどうしても問題発言のように見せようとして、言わずもがなの質問をしたのではないかしら、と思わないでもない。

まあ、この問題についてはあまり騒ぎ立てるほどの重大問題ではなさそうだ、ということだけ、とりあえず一言しておく。

ブロゴスに衆議院予算委員会におけるの質疑の書き下ろし文が掲載されていたので、皆さんのご参考に、該当部分と思われるところだけ抜粋してご紹介しておく。

参考:ブロゴスに掲載されている衆議院予算委員会の質疑の抜粋

「高市総務大臣:平成27年5月21日の参議院総務委員会で、これまでの解釈の補充的な説明として、私が答弁させていただきました。

これまで番組全体としていた理由は、先ほど委員も専門家でいらっしゃるんで、大体委員がおっしゃっているようなことなんですけれども、限られた放送時間の中で、なかなか政治的公平性を確保することが物理的に困難な場合というのはあります。

政党の党首を順繰りに日を変えてインタビューをしていく場合とか、24時間テレビのようにどこまでが1つの番組としていいとか、そういったことを行政が判断できないというような事情もありましたので、1つの番組のみで判断は難しいとしてきたのですが、その参議院の答弁で、1つの番組でも選挙期間中、またはそれに近接する期間において、ことさらに候補者や候補予定者のみを、相当の時間に渡って取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、また国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を、相当の時間に渡って繰り返し放送した番組の場合のように、番組編成が不偏不党の立場から、明らかに逸脱していると認められた極端な場合においては、政治的に公平であると確保していると認められない。
補充的な説明として答弁をさせていただいたところでございます。

なお、先ほどNHKの会長から答弁があったんですけれども、やはり放送法第51条において、協会を代表し、その業務を総理するお立場から、私どもは番組の編集についても、その責任をしっかりと果たしていただきたいと考えております。

民主党奥野議員:後段の部分は全く同感であります。会長職務の放棄と言っていいような答弁だったと思いますけれども、もう一度確認しますが、補充的答弁と言っていますが、要するに補充ということはつけ加えているということですから、その部分において、解釈が付け加わったことをもって変更されたというふうに理解をいたしますが、しかし放送時間の枠が狭いというようなことは、今も事情は変わっていないわけです。
先ほどのご答弁だと、例えば、朝のNHKの党首討論の場合の例などを挙げられましたが、例えば1時間の枠の中でという話であれば、今も事情は変わらないわけです。なぜ、これまで全体と言ってきたものについて、ここで解釈を補充する事情の変更が起きたのでしょうか。


高市総務大臣:特に事情の変更は起きておりません。
これまででも放送事業者が自律的に判断をしてきてくださったものであります。特に選挙期間や選挙が近づいた機関において、時間配分と政治的公平性の確保について、相当皆さま気を使っていただいているというのは分かります。
分かりやすく整理をしていく、という意味で申し上げました。
事情は変わっておりません。

民主党奥野議員:放送法の規定によれば第174条の業務の停止とか、電波法の無線局の停止とかという規定があって、総務大臣の権限として放送を止めることができるわけです。
これ、もし今の解釈だとして、個別の番組の、個別の発言、個別の内容について、この業務停止とか、あるいは放送業務そのものができなくなってしまうようなことが起こり得るんじゃないかと思いますが、いかがですか?

高市総務大臣:委員がおっしゃった通り、電波法上の規定もございます。
しかしながら、これまでも、放送法第4条に基づいて業務改善命令であったり、電波法に基づく電波の停止であったりといったことはなされておりません。
基本的には放送事業者が、やはり自律的に放送法を守っていただくということが基本であると考えております。

民主党奥野議員:ここで明確に否定していただきたいんですけれども、この放送法第174条の業務停止や電波法の第76条についてはですね、こうした第4条の違反に関しては使わないということで、もう一度明確にご発言いただきたいんですが。

高市総務大臣:それはあくまでも法律であり、第4条も、これも民主党政権時代から、国会答弁で単なる倫理規定ではなく、法規範性を持つものという位置づけで、しかも電波法も引きながら答弁をしてくださっております。

どんなに放送事業者が極端なことをしても、仮にですね、それに対して改善をしていただきたいという要請、あくまでも行政指導というのは要請になりますけれども、そういったことをしたとしても、全く改善されないと公共の電波を使って全く改善されない、繰り返されるという場合に、全くそれに対して何の対応もしないということを、ここでお約束するわけには参りません。

ほぼ極端な、そこまで電波の停止に至るような対応を放送局がされるとも考えておりませんけれども、法律というのはやはり法秩序というものをしっかり守ると、違反した場合には、罰則規定も用意されているということによって、実効性を担保すると考えておりますので、全く将来に渡ってそれがあり得ないということは断言できません。」