消費者庁を移転したら、消費者団体との連携はテレビ電話会議? | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

文化庁の京都移転、文化庁長官の京都常駐は基本的にいいことだと思う。
教育や科学研究、文化に関することは他省庁との関連は少ないだろうし、民間関係団体との連携等は歴史的遺産が多く、文化の香りが高く、かつ交通アクセスがいい京都を拠点にして行うというのは悪くない。
もっとも利用客が多い東海道新幹線を使えば全国どこからもアクセスが容易なのだから、政府が文化庁の京都移転に前のめりなのはよく分かる。

いわゆる文化人で京都移転に反対する人は殆ど現れないのではないかと思っている。
文化庁の役人の方々にとっては生活の本拠を変えることになるのだから、困ったなあと思っておられる方もおられるだろうが、長い目で見れば京都に移ってよかった、ということになりそうな気がしている。

しかし、中央省庁の地方移転のもう一つの目玉になりそうな消費者庁の徳島移転は肝心の消費者団体から強い反対の声が上がっており、勿論日本弁護士連合会も反対である。
どうやら自民党の中でも船田元氏をはじめ消費者問題に一家言のある方々が反対の声を上げられ始めたようだから、仮に河野太郎消費者行政担当大臣が自分だけの思いで消費者移転構想を推し進めても結局は誰からも祝福されない船出となってしまう。

内閣が変わり、徳島県知事が変わり、消費者担当大臣が変わってしまえば、剛腕大臣が消費者庁の役人の尻を叩きながら強引に推し進めてきたことはいずれは覆されることになる。
消費者庁の徳島移転は徳島県は歓迎するだろうが、東京、大阪、横浜、名古屋、仙台、博多、札幌、沖縄などなどの各地の消費者や消費者団体から歓迎されるとはとても考えられない。

消費者庁が近年目覚ましい制度改革の実績を挙げていることは評価するが、これはこれまで地道に消費者問題に取り組んできた様々な消費者団体や日弁連消費者問題委員会等の活動の成果だと思われるので、消費者庁を徳島県に移転してしまうとこれらの団体とのこれまでの強力な連携協力関係やネットワークに亀裂が入ることにもなる。

何よりも現場で働いている消費者庁の役人の皆さんが本音では反対しているようだから、こういうことは決して長続きしない。

様々な実験をすることまで反対するつもりはないが、無理を力づくで押し通すようなことはしない方がいい。