不都合な真実、という言葉がある。
自民党埼玉県連会長の新藤義孝前総務大臣がよく街頭演説で用いる言葉である。
新藤さんの話を直接聞いた人なら、え、そうなの、そういう話は聞いたことがなかった、と思わず耳をそばだてたくなるような大事な話なのだが、みんなに聞かせたいような本当の話は普通のマスコミは報道しない。
本当の話は、ごくごく身内か、ごくごく少数の人しか知らない。
マスコミに出てくる話は大抵は綺麗ごとばかりで、選挙の行方を左右するような大事な局面では一切表に出てこない。
きな臭い話は一部の週刊誌やスポーツ新聞、夕刊紙、発行部数が極めて少ないタブロイド新聞や雑誌などに出てくるが、真偽のほどは第三者には何とも分からないから、結局は大体において無視されることになる。
ある雑誌の土着権力の研究なる一文に現職知事の後援会組織・清友会の名前が出ていたが、如何にもそういうことがありそうだ、ということは言えても、それ以上には踏み込めない。
なんだかなあ、という違和感、不信感は拭えないのだが、どうにも出来ないもどかしさがある。
権腐十年という言葉があるくらいだから、何かあるだろう、何かあってもおかしくない、という程度のことを言っても差し支えないだろうが、絶対にそれ以上のことは言えない。
やめておけばいいのに。
ただ、その一言だけだ。
不都合な真実は権力者からは絶対に明かされない、という新藤氏の話は重要だと思うが、多くの人はその不都合な真実とやら言われるものの中身を知らないままに、明日の投票日を迎えることになる。
多分私たちが本当のことを知るのは、選挙が終わって大分経ってからだろう。