末は博士か大臣か、と言われた時代があった。
私も大学に残って博士への道を歩んでみたいという微かな夢を持った時期があったが、根がずいぶん大雑把で、研究生活にはちょっと馴染めそうにもない山っ気が強かったので、結局は自治省に入り、途中で弁護士に転じて、国会議員にもなった。
真面目な人はいつでも研究生活に入れるのだが、それほど真面目でない私はどっぷりと研究生活に浸かることが出来ない。
博士号を取るのは私にはいつまでも果たせない夢、憧れで終わってしまうことは必定である。
しかし、私が非常勤講師を引き受けた国士舘大学大学院の救急システム科には、昨年4月から博士課程が設けられている。
私自身は博士課程の院生の教育や論文の指導に当たるわけではないが、ひょっとしたら私の講義を受ける修士課程の院生が博士課程に進むかも知れない。
何となく嬉しい。
自分が出来なかったことを、私の周りの若い人たちが着々と仕上げている。
うん、博士を作ったのだから、まあ、いいか。