紛争解決の勘どころ8-泥船には乗らない、泥沼は避ける | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

船底に穴が開いているかどうかぐらいは確認するだろうが、船底に穴が開いていなくても泥船には乗らないことだ。

一見よさそうに見えても泥で出来ていればいつかは水が浸透してきて沈んでしまう。
沈み切る前に泥船からうまく脱出できれば助かるだろうが、うっかり船出して湖や海の真ん中で沈み始めたらどうしようもなくなる。

まあ、それでも助かる道は皆無ではないのだが、殆どの人は助からない。

紛争の最中に相手から様々な解決案が示されることがあるが、その解決案にうっかり乗ってはダメだということがしばしばある。
仲介者が出てきて助け船を出してくれることがあるが、その助け舟が実は泥船だということもある。

泥船なのか本当の助け舟かを見極めるのは必ずしも容易ではないが、泥船か本当の助け舟かを確かめることは必要である。

泥沼に足を踏み入れることも避けた方がいい。
底なしの泥沼が時々あるから、どろどろしたところにはなるべく近寄らない方がいい。
泥沼に足を取られてしまうと、泥沼から抜け出すために必死の努力をしなければならなくなる。
泥沼から抜け出すための時間や労力を他のことに振り向ければそれ相応の成果を挙げることが出来るのに、泥沼に足を取られた人はただただ無為な時間を過ごすことになる。

どこに泥沼になりそうな要素があるかを事前によく調査しておく必要がある。
いずれは泥沼に陥りそうであったら、たとえその道が今は一見して正しそうであっても、大きく迂回した方がいいこともある。

紛争の泥沼化を避けるための工夫はいくつかある。
どうやっても泥沼化することはあっても、知恵のある人は適当なところで泥沼から抜ける方法を探り当てるものである。

最悪なのは、闇雲に前に進んで自分が泥沼の中に足を踏み入れたことに気が付かないことである。
前へ前へと突き進んでさらに深く泥沼の中に身を沈めてしまうのがいけない。
早ければ助けられるのに、泥沼の中に深く沈み込んでいる人を助けるのは普通の人には実に難しい。

多分、心当たりがある人もおられるはずだ。

泥船には乗らない。
泥沼は避ける。

まあ、簡単なことだが、泥船か泥沼かがよく見極められないことが多いから大変ではある。