安倍総理の本音はどこにあるかー集団的自衛権の中身を問う | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

自民党の高村副総裁や公明党が頑張ったお蔭で、どうにか「自衛の措置」の範囲内で収まった、ということだろうと思っている。
さすがに自民党は懐が深い。

私もかつては誤解していたことがあるが、集団的自衛権という概念は実は「自衛」を正当化する権利のことではなかった。
自衛、自衛と言うから錯覚を招き易いが、端的に「自衛」ではなく「攻撃」を正当化する権利のことだと言われれば、もっと早く事の本質に迫ることが出来たと思う。

自衛権は、自衛のためにする相手に対する「攻撃」を正当化する権利である。
この「攻撃」には「防御」や「反撃」があるが、時には相手の「攻撃」を防ぐための「先制的攻撃」も含まれうる。

しかし、一般に言われている集団的自衛権という概念には「自衛のためにする」という要件がそもそも欠落しており、集団的自衛権は、「同盟国または自国と密接な関係にある国が攻撃を受けた場合に」「その同盟国または自国と密接な関係にある国のために」「その相手国に対する攻撃」を「正当化する権利」だと考えた方がいい。

こういう集団的自衛権の行使は日本国憲法の下では認められない、というのがこれまでの政府解釈であり、この考え自体は現在でも生きている、というのが私の理解である。

件の閣議決定が認めたのは、あくまで「自衛の措置」であって集団的自衛権ではない。
勿論、今回の閣議決定で憲法上認められている「自衛の措置」の範囲を法律や解釈で拡げていく動きは加速されるであろうが、どんなに拡げても「自衛」という要素をないものとしたり、「自衛」の限界を突破することは許されない。

「自衛」の範囲を超えるような措置は、違憲無効だと言っていい。
今回の閣議決定で一定の縛りがかかった、と私が繰り返し言うのは、そういう意味である。

集団的自衛権そのものを真正面から受け容れるような閣議決定にならなくてよかった。
私は、そう思っている。

自民党は、大人だと思う。
まあ、よかった、とは思っている。

しかし、不安はある。

安倍総理の本音は、実は集団的自衛権行使を全面的に認めて、日本を「普通の国」にすることにあるのではないか。
日本を取り戻すとか、積極平和主義で臨むとか、さらには日米同盟を強化しアメリカとの間で対等なパートナーシップを結ぶなどという目標を掲げられると、件の閣議決定の読み方がガラッと変わってくる。
自民党の石破幹事長は、あえて集団的自衛権という文言は使わないでもいいのではないか、と意見具申したが、安倍総理は集団的自衛権という文言を書き入れるのに固執した、という報道がある。
安倍総理の拘りぶりが気にかかる。
何となく衣の下から鎧が見えるような気がしてくる。

本当に衣の下に鎧をまとっているのかどうかは分からないが、元自衛官の人が危ない、危ない、と叫んでいるのは分からないではない。

以下、引用:Gunosy のまとめ記事から

「集団的自衛権行使容認についてー元自衛官から

街頭にて 元自衛官 泥 憲和さんより

突然飛び入りでマイクを貸してもらいました。 集団的自衛権に反対なので、その話をします。 私は元自衛官で、防空ミサイル部隊に所属していました。 日本に攻めて来る戦闘機を叩き落とすのが任務でした。

いま、尖閣の問題とか、北朝鮮のミサイル問題とか、不安じゃないですか。 でも、そういったものには、自衛隊がしっかりと対処します。 自衛官は命をかけて国民をしっかり守ります。 そこは、安心してください。

いま私が反対している集団的自衛権とは、そういうものではありません。 日本を守る話ではないんです。 売られた喧嘩に正当防衛で対抗するというものではないんです。 売られてもいない他人の喧嘩に、こっちから飛び込んでいこうというんです。 それが集団的自衛権なんです。

なんでそんなことに自衛隊が使われなければならないんですか。 縁もゆかりもない国に行って、恨みもない人たちを殺してこい、 安倍さんはこのように自衛官に言うわけです。 君たち自衛官も殺されて来いというのです。 冗談ではありません。 自分は戦争に行かないくせに、安倍さんになんでそんなこと言われなあかんのですか。 なんでそんな汚れ仕事を自衛隊が引き受けなければならないんですか。 自衛隊の仕事は日本を守ることですよ。 見も知らぬ国に行って殺し殺されるのが仕事なわけないじゃないですか。

みなさん、集団的自衛権は他人の喧嘩を買いに行くことです。 他人の喧嘩を買いに行ったら、逆恨みされますよね。 当然ですよ。 だから、アメリカと一緒に戦争した国は、かたっぱしからテロに遭ってるじゃないですか。 イギリスも、スペインも、ドイツも、フランスも、みんなテロ事件が起きて市民が何人も殺害されてるじゃないですか。

みなさん、軍隊はテロを防げないんです。 世界最強の米軍が、テロを防げないんですよ。 自衛隊が海外の戦争に参加して、日本がテロに狙われたらどうしますか。 みゆき通りで爆弾テロがおきたらどうします。 自衛隊はテロから市民を守れないんです。 テロの被害を受けて、その時になって、自衛隊が戦争に行ってるからだと逆恨みされたんではたまりませんよ。 だから私は集団的自衛権には絶対に反対なんです。

安部総理はね、外国で戦争が起きて、避難してくる日本人を乗せたアメリカ軍の船を自衛隊が守らなければならないのに、いまはそれができないからおかしいといいました。 みなさん、これ、まったくのデタラメですからね。 日本人を米軍が守って避難させるなんてことは、絶対にありません。 そのことは、アメリカ国防省のホームページにちゃんと書いてあります。 アメリカ市民でさえ、軍隊に余力があるときだけ救助すると書いてますよ。

ベトナム戦争の時、米軍は自分だけさっさと逃げ出しました。 米軍も、どこの国の軍隊も、いざとなったら友軍でさえ見捨てますよ。 自分の命の方が大事、当たり前じゃないですか。 そのとき、逃げられなかった外国の軍隊がありました。 どうしたと思いますか。 軍隊が、赤十字に守られて脱出したんです。 そういうものなんですよ、戦争というのは。

安倍さんは実際の戦争のことなんかまったくわかってません。 絵空事を唱えて、自衛官に戦争に行って来いというんです。 自衛隊はたまりませんよ、こんなの。

みなさん、自衛隊はね、強力な武器を持ってて、それを使う訓練を毎日やっています。 一発撃ったら人がこなごなになって吹き飛んでしまう、そういうものすごい武器を持った組織なんです。 だから、自衛隊は慎重に慎重を期して使って欲しいんです。 私は自衛隊で、「兵は凶器である」と習いました。 使い方を間違ったら、取り返しがつきません。 ろくすっぽ議論もしないで、しても嘘とごまかしで、国会を乗り切ることはできるでしょう。 でもね、戦場は国会とは違うんです。 命のやり取りをする場所なんです。 そのことを、どうか真剣に、真剣に考えてください。

みなさん、閣議決定で集団的自衛権を認めてもですよ、 この国の主人公は内閣と違いますよ。 国民ですよ。 みなさんですよ。 憲法をねじ曲げる権限が、たかが内閣にあるはずないじゃないですか。 安倍さんは第一回目の時、病気で辞めましたよね。 体調不良や病気という個人のアクシデントでつぶれるのが内閣ですよ。 そんなところで勝手に決めたら日本の国がガラリと変わる、そんなことできません。

これからが正念場です。 だから一緒に考えてください。 一緒に反対してください。 選挙の時は、集団的自衛権に反対している政党に投票してください。 まだまだ勝負はこれからです。 戦後69年も続いた平和を、崩されてたまるもんですか。 しっかりと考えてくださいね。 ありがとうございました。」