静岡地方裁判所が先ほど袴田事件について再審開始決定を出した。
日本の司法を正す会で袴田巌死刑囚のお姉さんのお話を聞き、さらに支援者の方から袴田事件の具体的な取り調べの状況等の報告を受けて、違法な捜査が当時罷り通っていたことを確認した。
こんな供述調書で有罪認定をするのは絶対におかしい、袴田事件については再審すべきだ、と思っていたものだった。
私が衆議院議員時代に同僚であった当時自民党の法務部会長であった倉田衆議院議員(弁護士で、静岡弁護士会の副会長の頃、袴田事件再審請求弁護団に入っておられたことがあるようだ)からも袴田事件のことを聞いていたから、事件の詳細は知らないが、とにかく袴田事件はおかしな裁判だという印象は持っていた。
私のブログの読者の方からコメントが寄せられていた。
一字一句も変えることが出来ない見事な文章であるので、項を起こして皆さんにご紹介する。
この読者の方は、再審開始決定を願う、と今朝書いておられた。
その願いが、今こうして実現した。
願いが叶ったのである。
大勢の人たちの願いがついに叶った。
今日は、司法が本来の役割を果たした記念すべき日になる。
「袴田事件の一審で有罪の判決文を書いたのは 元裁判官の熊本典道氏で、当時は3年目の若手だった。
氏は334名中の1位で司法試験に合格した秀才で 3名で審議した静岡家裁で無罪を主張したが多数決で覆され、書きかけの無罪判決を破棄し 意思に反して有罪の判決文を書いた。
このとき先輩の裁判官に 「あんた、それでも裁判官か!」 と怒鳴り付け、「あんたが書け」と用紙を投げつけたが泣く泣く書かされた。
判決の中に厳しく捜査や立証を批判した部分があり、以前から有罪に異を唱えた判事のいた可能性が指摘されてきた。
直ぐ後に退官して弁護士となり 大学法学部の講師をしたり日航機墜落事故へ関わるなどした。
2007年に衆院議員会館での集会で合議の秘密を破って死刑囚の無実を訴え、再審を求める陳述書を最高裁に提出し NYの国連本部でも会合に出た。
氏は一審の判決で捜査を批判している。→
被告人が自白するまでの取調べは、―外部と遮断された密室での取調べ自体の持つ雰囲気の特殊性をもあわせて考慮すると―被告人の自由な意思決定に対して強制的・威圧的な影響を与える性質のものであるといわざるをえない。
捜査官は、被告人を逮捕して以来、専ら被告人から自白を得ようと、極めて長時間に亘り被告人を取調べ、自白の獲得に汲々として、物的証拠に関する捜査を怠ったため、結局は、「犯行時着用していた衣類」 という犯罪に関する重要な部分について、被告人から虚偽の自白を得、これを基にした公訴の提起がなされ、その後、公判の途中、犯罪後一年余も経て、「犯行時着用していた衣類」が、捜査当時に発布されていた捜索令状に記載されていた 「捜索場所」 から、しかも、捜査官の捜査活動とは全く無関係に発見されるという事態を招来した。
このような本件捜査のあり方は、「実体真実の発見」 という見地からはむろん、「適正手続の保障」 という見地からも、厳しく批判され、反省されなければならない。
本件のごとき事態が二度とくり返されないことを希念する余り敢えてここに付言する。 ーーー 一審判決分より
死刑囚に少しでも心を寄せる為、袴田さんが28年前に受けた洗礼を 氏自身も受け、支援者と共に無実を訴えている。
再審開始決定を願う。」
(なお、私のブログにこのコメントを寄せられたのは、Xyav(くしゃぶ)さんという方である。)
弁護士早川忠孝の雑来帳「ザッツライッ」
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