この弁解は通らない | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

ここに来て途轍もない痛いニュースが飛び込んできた。

えっ、と愕然とするような話である。
猪瀬東京都知事が徳洲会グループ側から現金5000万円を昨年の都知事選の前に受領し、本年9月に東京地検が徳洲会グループが強制捜査を行ってから5000万円を返却した事実を認めたという。

明日の第一面を飾るに相応しい痛いニュースである。

収支報告書への記載の有無を問うような話ではない。
借用書を書いたからと言って済むような話ではない。
都知事選挙出馬のあいさつに徳田虎雄氏のところに挨拶に行き、その後徳田毅衆議院議員から5000万円の現金を受領したというのが事実であれば、誰がどう見ても選挙運動のための資金の授受としか見えない。

単なる現金の受領書だったら政治献金か贈与で、借用書と言う文字が書かれていれば借入金だなどという認定は税務署だったら絶対にしない。
どういう経緯で5000万円もの現金の授受がなされたのか、この5000万円はどうやって捻出され、現金の授受はどういう形態でなされたのか、授受された現金5000万円はどういう手順で金庫に保管されることになったのか、簡単な借用書の外に詳細な消費貸借契約書が作成されたかどうか、現金の授受に何故一水会の代表が立ち会ったのか、関係者の間でどういう会話が交わされたのか、等の事実を総合判断して単なる借入か否かを判断するのが常道である。

誰が個人的な借用だったと弁明するように知恵を授けたのか分からないが、随分下手な知恵を授けたものだ。

個人的に借用する時は普通は借入金の使途が決まっており、当然返済計画も決まっていなければ
ならない。
取りあえず現金で5000万円を受け取って、後はある時払いの催促なしで、利息の定めもない、誰にも現金5000万円の授受は知らせず、銀行にも預けない、いうのは完全に闇から闇への取引をやっていた、ということである。
徳洲会グループに強制捜査が入ってから、特別秘書を通じて5000万円の返金がなされた、というのも実に胡散臭い。
猪瀬知事側に特に5000万円もの資金を必要とする理由がなかったのだとしたら、猪瀬氏は危ない落とし穴か何らかの罠に嵌まってしまった、ということになる。

マスコミが飛びつくような話が満載である。
夕刊紙や週刊誌が連日書き立てるような、黒い煙がもうもうと立ち上がるような話である。
新右翼団体の一水会の代表が現金5000万円の授受に立ち会っていた、というのが決定的なマイナス材料になりそうである。

なんとまあ愚かなことをする人たちだろう。

徳洲会事件は、東京地検特捜部の名誉回復、失地回復の最高の材料になってきたようだ。
そろそろこの事件も幕引きを図る頃かと思っていたが、これでますます捜査の網が拡がる。
無罪請負人の出番は、この事件についてはなさそうである。

参考:毎日新聞配信記事

<猪瀬知事>「個人的な借用」徳洲会から5000万円
毎日新聞 11月22日(金)22時7分配信

「東京都の猪瀬直樹知事(67)が、公職選挙法違反事件で幹部らが逮捕された医療法人「徳洲会」グループ側から昨年12月の都知事選前に5000万円の資金提供を受けていた問題で、猪瀬氏は22日の記者会見で「個人としての借り入れで、選挙に使うつもりはなかった」と釈明し、公職選挙法などには抵触しないとの見解を示した。返却が今年9月に同グループが東京地検特捜部の強制捜査を受けた後になった点については「たまたま」とする一方で「返済するのがやや遅れてしまったのは大変申し訳なかった」と謝罪した。【川口裕之】

◇収支報告書に記載なし

都の条例は都知事に対し、知事に就任した時点の借入金などを資産報告書に記載するよう定めているが、猪瀬氏は5000万円について記載しておらず、同日に修正した。条例違反に対する罰則はない。

猪瀬氏によると、資金提供を受けたのは昨年11月。徳田虎雄・前徳洲会理事長が入院する神奈川県鎌倉市の病院を訪れ、知事選出馬のあいさつをした。その後、徳洲会側から連絡を受けて徳田氏の次男である毅衆院議員から現金で5000万円を受け取り、借用書を書いた。無利子・無担保だった。場所は「議員会館だったかもしれない」と述べ、仲介者として新右翼団体「一水会」の木村三浩代表が立ち会ったという。

受け取った現金は、妻(今年7月に死亡)名義の貸金庫に入れたまま使用せず、選挙後の今年1~2月に徳洲会側へ返済する旨を伝えたという。だが、妻の病気や徳洲会側の都合などで返済が遅れ、強制捜査後の9月になって特別秘書が現金をそのまま返却。この経緯を知っているのは「自分と妻だけ」で、選挙責任者や会計責任者にも伝えていなかったという。

また、5000万円の受領は「申し出を断るのは失礼」との思いがあったと説明。選挙費用や便宜の見返りを期待しての提供だったことはないと強調。一方で「自分の預金が底を突くかもしれないという思いがどこかにあった」「当時は政治家としての意識が弱かった。借りるべきではなかった」とも述べた。

知事選の収支報告書によると、猪瀬氏は自己負担の3000万円と後援組織からの寄付50万円を運動費用に充て、2113万円余を使った。猪瀬氏の資金管理団体の2012年収支報告書にも徳洲会関連の寄付や借入金の記載はなかった。」