新しい試みではある。
何もやることが無くなったら、絶対に負けないような訴訟を裁判所に提起して相手を法廷の場に引き出す、ということは十分成り立つ。
菅元総理が安倍総理に対して選挙期間中に訴訟を提起した、ということは、いよいよ日本が本格的な訴訟社会になるという前兆なのだろう。
私の目から見れば筋皮骨衛門の訴状だが、見る人が見れば、これは絶対に勝つためのターゲットを絞りに絞った、贅肉を削ぎ落した一級品の訴状ということになる。
そういう見方に立って菅氏の訴状を読めばそれなりに周到な訴状のように見えてくるから不思議なものだ。
まあ、軽々に他人の訴訟活動を批判しない方がよさそうだということである。
利口な人は、こういう時に一切口を開かない。
まだ何とも言えない、というところが本当だろう。
新しい選挙法務を確立しようとしている立場から言えば、この訴訟に対して被告側はどうするのがベストなのか、ということについて答えを出すことだ。
訴訟だからまったく何の対応もしなければ、相手の請求を認めたことになるから何らかの対応をせざるを得ない。
まだ訴状の送達がなされている状況ではなさそうだから、この段階で被告側がアタフタ動くことはよくない。
まだ本当に動くことは出来ないが、しかし、あっさり相手をいなすように動くのか、どっしり構えて大戦にするかの選択をする必要がある。
誰が弁護団を組織し束ねていくかで決まる。
元総理と現総理の大戦いうことになると、双方共に簡単には引けない。
大体はどっしり構え、大戦に仕立て上げていくことになる。
本当はやらない方がいい争いなんだが、起こされた以上は徹底的に戦う、ということになるであろう。
10人ぐらいの大弁護団を結成することになるのだろう。
そうなると対抗上、菅氏の側も弁護団を増員せざるを得なくなる。
肩が触れた程度の話が、互いの政治生命を賭けた戦いに変貌していく。
如何にそういうことが愚かなことか身をもって知るまで、この類の戦いはエスカレートするものだ。
これからはこういうことにも強い「選挙に強い弁護士」をつくる必要がありそうだ。