PC遠隔操作事件で裁かれるのは、片山被告だけではない | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

起訴されたからそれで直ちに起訴された被告を犯人だとは極めつけられないのだ、ということを私たちは学んできた。

警察、検察がその威信を賭けて捜査に当たっていたと思われるPC遠隔操作事件の捜査がようやく終結したが、起訴された片山被告も弁護団も一貫して無実を訴えている事件だから捜査資料に接していない第三者である私たちが起訴された片山被告を今の段階で犯人だとかいや犯人ではない、などと極めつけた物の言い方をすることはしない方がいいだろう。

如何にも難しそうな事件である。

日本の司法を正す会で片山被告の弁護人から話を聞いてこの事件の捜査の難しさを確認したが、その後の一連の報道を読んでも胸のつかえが一向に下りない。
これだけの時間をかけて警察、検察が捜査を遂げているのだから、まったく証拠なしに捜査当局が片山被告を犯人と極めつけるはずがない、と思う反面、その程度の捜査で起訴して大丈夫なのか、その程度の証拠で有罪になるのだろうかという疑念を拭い去ることは出来ない。

実に難しい。
言及するのが難しいからそっとしてきたが、しかし、新しい選挙制度研究会や弁護士選挙研究会を起ち上げた言い出しっぺの弁護士としてこの事件の推移には特に注目している、ということを皆さんにお知らせしておいた方がいいだろう。

この事件の捜査は、実はインターネット選挙運動解禁と密接に関係している。
インターネット選挙運動解禁で予想されるネットを介してのなりすましや誹謗中傷に対して捜査当局がどの程度対処できるのか、そしてその信頼性はどの程度あるのかなど、まさに警察や検察の威信がこの事件に係っている。

片山被告が裁かれるのと同様に、この事件では警察も検察も裁かれるのである。
ひょっとしたら裁判所も裁かれるのかも知れない。

参考:毎日新聞配信記事

以下引用

「<PC遠隔操作事件>片山被告を追起訴、捜査終結…東京地検
毎日新聞 6月28日(金)20時18分配信

パソコン(PC)の遠隔操作事件で、東京地検は28日、横浜市の小学校襲撃とアイドルグループ襲撃の2件の犯行予告について、元IT関連会社社員、片山祐輔被告(31)を威力業務妨害罪で追起訴した。また、遠隔操作ウイルスを計6人のPCに感染させたとして、不正指令電磁的記録(ウイルス)供用罪でも追起訴し、一連の捜査を終結した。片山被告は犯行予告9件、ウイルス供用6件の計15事件で罪に問われることとなった。

【犯罪予告の一覧も】遠隔操作容疑者逮捕 携帯に猫の写真 首輪の物証、突破口

 起訴状によると、昨年6月29日、不正プログラムを使い、当時大学生だった男性のPCから横浜市のホームページ投稿欄に小学校の襲撃予告を書き込み、小学校を休校させた。同年8月29日には、遠隔操作ウイルスに感染した神奈川県の男性のPCを使い、アイドルグループへの襲撃予告をネット掲示板に書き込み警備員を増員させたとされる。【島田信幸】」