私の元同僚が大勢国会の現場に戻ったのはいいことだが、元気になり過ぎてトンデモナイ発言をすることのないように願っている。
司法、立法、行政の3権のバランスを念頭において、常に謙抑的であって欲しいと思うが、誰も窘めてくれる人がいないとつい発言が暴走しがちなのが人の常だ。
調子に乗り過ぎていけないのは、維新の橋下氏だけではない。
一票の格差問題について全国各地で昨年12月の衆議院選挙は違憲状態の中で行われた選挙だという判断が相次いだ。
選挙無効とまで判断した裁判所まで現われている。
昨年の衆議院議員選挙で当選したばかりの衆議院議員にとっては自分の身分に直接関わる重要な問題だから特にセンシティブになることは分かるが、だからと言って裁判所の個別の判断に介入しようとしたり最高裁の判断に影響を与えようとして圧力をかけるようなことはしてはならない。
当事者はこういう時は黙って見ているものである。
当事者である衆議院議員が余計なことを言い始めると、この問題は別のところに飛び火する。
5月23日に開催される衆議院の憲法審査会のことである。
憲法審査会の審議が一巡して、また立法と司法との関わりの問題が取り上げられることになった。
裁判所の違憲判決に対して国会はどう対処するのがいいのか、という切り口なら特に問題はないが、国会の立法作用に裁判所が濫りに口を出すべきではない、国会が国権の最高機関だ、国会議員は国民の代表として選挙で選ばれている、国民の選挙で選ばれていない裁判官が国会議員の身分に関することに軽々に口を出すべきものではない、そんな裁判官は罷免の対象だ、ぐらいな乱暴な物言いが大手を振って罷り通るようになると大変なことになる。
まもなく一票の格差の問題についての最高裁の判決が出されることになるが、この段階での衆議院憲法審査会の議論が最高裁の判断を牽制するための手段に使われることのないよう、十二分に留意していただきたい。