小沢秘書無罪論を唱える方々は、この人の判決解説を読まれるべき | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

私は、学者への道は選ばなかった。

自分でも勘は悪くはないと思っているのだが、いわゆる学者、研究者の方々のように一つ一つ丁寧に、しかも細部にまで拘ってとことん事実を解明し、どんなに叩かれれも揺るぎがないほどの研究成果を挙げられるほどの忍耐力と徹底的な正確さを求める探究心・研究心にやや欠けるところがあるのを自覚しているからだ。

弁護士は、いわゆる学者ほどの厳密さは求められていない。
私は学者にはなれないが、それでも実社会では十分に通用する。
時々法律用語の正確な使い方を間違えたり、誤字脱字があったりするが、まあご愛嬌というところだ。

なにしろ私が司法試験のための法律の勉強をしたのは40年以上も前のことであり、当時の基本書も1回半しか読んでいない。
徹底的に勉強したわけではないので、些か法律知識が不正確なところがある。
だから、私がこのブログに書いていることがすべて正しいとは言えないので、まあ皆さんの考えるヒントの一つくらいの、緩い感覚でお付き合いいただければありがたい。

もっとも、細部に拘って大局を見ることが出来ない学者、研究者、大学の教授よりも、大局を見通し、物事の本質を把握し将来を洞察する力は一般の政治家や弁護士の方が上回っていることがあるから、そうそう馬鹿にしない方がいい。
まあ、餅屋や餅屋。それぞれ、自分の得意なところで精一杯自分の力を発揮できればいいのではないか、と思っている。

もっとも、言いたかったのはこのことではない。

実は、これは凄い、と思う論稿を読ませていただいたのだ。
学者・研究者の論稿の割には誤字脱字の類が多いのが気になるが、中身は実に優れている。
既にブロゴスニュースに転載されているものだが、この論稿を正解しないでいくら裁判批判を繰り返されても何の役にも立たないと思う。

小沢秘書有罪判決誤謬論を主張される方は、ぜひこの論稿に目を通されたらいい。
私とはまた一味違った書き方で、的確にこの判決を解析されている。

如何にも憲法研究者、法科大学院教授らしい解析の仕方である。
具体的に本件事件で問題となった争点について、検察の論告や被告側の主張、さらには法廷での具体的な供述などを踏まえて判決の解析をされている。
少なくとも現在までに私が目にした判決の解説の中では、最も優れている。
直接の資料に目を通していない私にも、その論稿の解析の正確さが十分に伝わってくる。

神戸学院大学実務法学研究科(法科大学院)教授の上脇博之氏の「ある憲法研究者の情報発信の場」というブログである。

本当の学者は、それこそ一字一句に拘るものだ。
実に見事なものである。
そこまで拘るか、と思うようなこともある。
民法の大家と言われた川島武宜教授などは正確さを求めるあまり、いつまでも基本書が書けなかったと言われる。
私は、とてもそこまでは出来ない。
もっとも、自分自身ではそんなに厳密な検討作業はしないし、また出来もしないが、物事のいい悪いの判断能力だけは人一倍ある方なので、他人がやっている仕事の善し悪しはよく分かる。

上脇氏の論稿は、確かに優れている。

(参考)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(3):土地取得をめぐる事件
2011年10月02日 09時01分 / 上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場