日本にとって自衛隊の存在は大きい。
自衛隊出身の国会議員がどういう行動を取るか、私は注目している。
自衛隊出身の自民党参議院議員である髭の隊長・佐藤正久氏は、行動力のある国会議員であり、自衛隊とは現在でも親和性が高い。
その佐藤氏の応援団が自衛隊OBの方々であることは、周知のとおりである。
今は、自衛隊そのものが政治から一線を画しているからいい。
しかし、自衛隊が自衛隊独自の論理で行動するようになり、国会議員に対しても一定の影響力を獲得するようになると、現在の劣化した政治の状況の中ではとんでもないことに繋がってしまう虞がある。
田母神氏の例もある。
幹部の間に強烈な国家観、領土保全意識、国防意識が育っていくと、いずれは国会の現状に不平不満が横溢するようになり我慢が出来なくなる人たちが出てくる。
こういう背景を考えると、佐藤正久氏は決して軽挙妄動をしてはならない大事な存在である。
佐藤氏の言動に左右される自衛隊員が現われるかも知れない。
佐藤氏の後ろには多くの自衛隊員や自衛隊のOBがいる。
佐藤氏は、そのことをよく考えるべきである。
今回の訪韓は、自民党の一部の保守系国会議員の政治的アピールで、初めから韓国政府から入国を拒まれることは分かっていた。
日韓両国間に竹島というのっぴきならない領土問題があることを国際社会にアピールするためには必ずしも悪くないが、しかし成算はなかった。
現時点において李明博政権を窮地に追い込むような行動をすることにどれだけの意味があるか、ということを考えると、佐藤氏があえてこの成算のない行動に参加したのが不思議である。
文官でなければ閣僚にはなれないという現行憲法の下で自衛隊出身の国会議員がどこまで活躍が許されるのか疑問だが、佐藤氏は日本の国防政策を考える上でその道の専門家である。
誰のチルドレンでもない、完全に自立した立派な政治家である。
特別なパフォーマンスなどいらない。
韓国への入国を拒否された3人の国会議員の行動を称賛する声の方が高いが、私は、何故今の時期にあえて日韓両政府を窮地に追い込む必要があったのか、疑問を感じざるを得ない。