菅総理の自発的退陣を求めるために色々書いてきたが、もう少し菅総理の内面にまで踏み込まないと菅総理や総理夫人の心を動かすことは出来ないだろう。
改めて菅氏の軌跡を振り返ってみた。
ウィキペディアは凄い。
公刊されている資料を基に菅氏のこれまでの歩みを客観的に記述している。
菅氏が第4列の男だということは、私も聞いていた。
学生運動にのめり込んでいて、当時の極左的学生運動とは一味違った独特の市民派的学生運動集団を立ち上げたということも聞いていた。
一年留年して東工大を卒業し、特許事務所で働きながら弁理士資格を取得したということも聞いていた。
大学紛争を経験しているから、私も菅氏と同じ時代の空気を吸ってきている。
市民派的学生運動から一国の総理大臣に上り詰めたのだから、菅氏はある意味で私たちの世代のスターである。
何度も国政選挙に挑戦して落選を重ねながらも、挫折しないで市民運動的政治活動を続けてきたのだから、大したもんだと思う。
その経歴だけ見れば、雑草のような逞しさを備えた、本当の庶民から生まれた英雄だと見えなくもない。
しかし、本当はどうだったのか。
菅氏が大地主、庄屋という名家の生まれだった、ということが明らかになっている。
何が菅氏の心に火を点けたのか分からないが、相当の野心家だったようだ。
他人の下で働くことを潔くしない、という向こうっ気の強さを持っていたようだ。
企業への就職をしないで特許事務所に勤めて弁理士を目指すという受験生の姿を思い描くと、菅氏の心意気が何となく分かる。
菅氏は個を好む。
菅氏は孤を厭わない。
決然として生きる、と揮毫する菅氏は、そういう人間なんだと思う。
支持率が1パーセントになっても総理は辞めない、という心境は、菅氏のこれまでの歩みの中で培われた本心だと思う。
大したもんである。
それこそ誇大妄想じゃないか、と思われるような生き方をしている。
夢想家だと言ってよい。
日本が生んだドンキホーテだと断言してもいい。
そのドンキホーテが大成功を収めた。
小沢一郎氏よりはしたたかだ。
第4列の男は、自分が火の粉を被るような真似はしない。
利口な男だ、とも言えよう。
菅氏は、鳩山由紀夫氏よりも地に足が付いているところがある。
観念的な行動に走りがちな極左学生運動家とは一線を画したところに、菅氏の現実主義、状況主義が現われている。
簡単にはへこたれない。
そう思うべきだ。
菅氏が今日の成功を収める切っ掛けを作ったのは、明らかに市川房江氏の存在だ。
菅氏は市川房江氏を徹底的に利用した。
市川房江氏は本当の市民運動家であり政治運動の主宰者だった。
多くの人々から本当の尊敬を勝ち得た人である。
市川房江なければ菅直人の誕生はなかっただろう。
しかし、菅氏は、市川房江にはなれない。
菅氏は、市川房江を生むことは出来ない。
今のままでは、誰も菅氏を尊敬しないだろう。