供応買収罪と受供応罪 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

選挙違反で一般の善良な市民を巻き添えにし勝ちなのが、供応買収である。




個別の投票依頼というよりも、支援者の方々に集まっていただいて選挙運動の進め方を協議するときに、折角集まっていただいたのに食事も差し上げないのでは失礼だ、ということで食事を用意する。


食事に飲み物は付き物だから、多少のお酒も出すことになる。




直接の投票依頼ではないし、もともとの支持者だから、買収の意図も無い。


忙しいのにわざわざ時間を割いて集まっていただいたのだから、そのくらい当然でしょう、ということになる。


特に昔からそういう慣習があるところでは、ついついこんなことをやってしまう。




供応をした側が供応買収で逮捕されるのは、止むを得ないだろう。


いくら法を知らなかった(法の無知)からと言って、それで許されるような問題ではない。




可哀相なのは、食事をふるまわれた側である。




別にねだったわけでもないのに、食事が出たから食べただけ。


何の悪気も無い。


本当は食事も必要なかった、食べたくも無かった、というのに、出た食事に手をつけてしまったために逮捕されてしまった。


いけないことだと知っていたら食べなかったのに。




そう、思われたことだろう。




実は、こういう事件はあちこちで起きている。


保守系の陣営ほど、こんな落とし穴に陥りやすい。


なんと無防備な、と思うが、それぞれの地域の土地柄、風土がそうさせるのだろう。




参議院富山県選挙区から当選した自民党の野上浩太郎陣営の供応買収事件を指摘されている方がおられたが、口を酸っぱくして何度注意しても、こういう事件が後を絶たないのは残念である。




善良な市民をも犯罪者にしてしまうという意味で、これほど迷惑で、愚かなことはない。


善良な一般の市民の方に迷惑をかけないようにするのは、選挙に出ようとする人の最低限のマナーである、と私は思っている。選挙に出る以上は、どうすれば供応買収や受供応の嫌疑がかけられないで済むか、ということぐらいは分かっていて欲しいものだ。




ちなみに、私の場合は、すべて会費制でやっていた。




わざわざ来ていただく方に会費を負担していただくのは申し訳ない、と思いながらも、万一のことを考えてこれは徹底した。


さぞかしけちな奴だ、と思われた方もいるだろうが、供応買収が一番警察には分かりやすく、検挙もしやすい、ということが分かっているから、特に注意した。


警察はあちこちに網を張っているから、いつ、どこで、どんな会合があるかを大体知っている。


料理屋での会合などは一番把握しやすい。


会合が終わった後、料理屋に行っていくらかかったのか、誰が支払ったのか、何人出席したのか、などを聞き出している。


何人出席したのか、ということと同時に、誰が出席したのかも根掘り葉掘り聞き出している。




だから、経験のある人は、おそらくこの種の会合のために料理屋は使わないはずだ。




それでは選挙にならない、選挙運動員の士気が上がらない、という声が上がるかも知れないが、こんなことで人生を棒に振るのは余りにも口惜しい。


ご用心、ご用心。