普天間基地移設問題が挫折したときに行うのは総辞職ではなく、衆議院の解散 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

私は、連立政権の一角を占めている社民党は、予算が成立したら参議院選挙に向けて独自路線を強めるはずだから、4月早々には連立から外れると見ている。


社民党の衆議院議員にとっては連立政権に入っていようがいまいがあまり関係ないから、社民党執行部としてはもっぱら7月の参議院選挙のことを考えなければならない。

民主党のツートップの政治資金規正法違反や脱税疑惑を追及できないような中途半端な状態にいつまでもいることはできないはずだ。

社民党は、野党だから存在価値がある。

政権政党に対するまっとうな批判が出来る存在だからこそ、小粒でも光ってくる。

共産党や民主党ににどんどん自分の支持基盤を食い破られている状況にいつまでも我慢できないはずだ。


社民党が現在の連立政権から外れたら、日本は少しだけ風通しが良くなる。

社民党の反対は反対として、民主党は思い切った政策の実行に踏み切れるようになるはずだ。


一番の課題は、普天間基地移設問題である。

これは何とかしたい。


私は、もはや辺野古沖は不可能になったと考えている。

政権交代が起きた以上、如何にアメリカとの約束でも守れなくなったものは守れない、と頭を下げるしかない。

日米同盟の根幹に関わることであるが、国民が民主党政権に国政を委ねたのだから、ここは民意を尊重するしかない。


鳩山総理はオバマ大統領に対して、トラストミーと言ったようだが、5月末までに普天間基地移設問題が決着する見込みは少ない。

なにより沖縄が納得しないだろう。


閣外に去る社民党の反対を押し切って、国民新党の内陸案を基礎に民主党、国民新党だけで決めれるか、と言えば、これも簡単なことではない。

中途半端な解決策でアメリカが納得する状況でもない。

この問題の解決は、参議院選挙が終り、新たな政権が誕生した後でなければ、ほぼ不可能である。


鳩山総理は、相当の覚悟を持って普天間基地移設問題に取り組む、と繰り返し言明しており、5月末までに解決できなければ総理大臣を辞職することを示唆している。

総理のこの覚悟を受け止めたいところだが、しかし、アイ トラスト ユーとは行かない。


普天間基地移設問題は、一内閣の問題ではない。

まさに日本の国の安全保障の根幹に関わる問題であり、今後の日本の命運を左右するような問題である。

辺野古沖への移設を断念するとしたら、さてどうするか、ということは、私たち日本国民が改めて知恵を絞って決めていかなければならない大事な問題である。


普天間基地の継続使用も、私は不可能になっていると考えている。

普天間基地を当面使用しないこととして、それではアメリカの海兵隊にどこを提供するのか、あるいは提供しないのか、ということを考えていかなければならない。

普天間基地をアメリカに提供しないという選択は、日米の同盟関係の大変な変容になる。


日米安全保障体制が日本のみならず極東の安全保障に直結しているということを考えれば、日米同盟関係の変容で日本や極東の安全保障体制に大きな空隙が生じるということである。

この空隙を誰がどうやって補うか、という問題になる。

アメリカには少しずつ退いてもらうことにして、その実効性はさておき、日本の自衛隊がその穴を埋めることにする、という選択もあるだろう。

自衛隊がいずれは国防軍になり、国連軍の一部になる、という道に繋がる話だ。


しかし、私は、これには反対である。

戦争に再び日本の若者が捉えられていくような道は、何としても避けなければならない。


普天間基地問題にはこうした大事な問題が内在している。

こうした大事な問題に蓋をしたまま、今の国会議員の間でズルズルと中途半端な決断をされ、結果的に日本の国民を危機に晒すようなことになっては困る。


鳩山内閣が総辞職をして、民主党の中で政権の盥回しのようなことが行われても困る。

普天間基地移設問題の決着が出来ないときに鳩山総理が行うべきなのは、内閣の総辞職ではなく、衆議院の解散である。

そのくらい大事な問題である。


鳩山総理は、決死の覚悟で普天間基地移設問題に取り組んで欲しい。