子ども手当て批判 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

厚生労働省の施策は一度全面的に見直しをした方がいい。

それこそ、事業仕分けを国民の目線に立ってやり直すべきである。


定額給付金にしろ子ども手当てにしろ、国が行う給付事業はどこかだらしがない。

無節操なところがある。

給付すべき相手には行かないで、声の大きなうるさい人や、外野にうるさい応援団が付いている人などにはかなりルーズに給付金が支給されるような仕組みになっている。


定額給付金については、受刑者にも支給される、DVの加害者にも支給される、在日外国人にも支給される、税金を払っていない人や子どもの給食費も払わない人にも支給される、というので、こんな制度はやめにした方がいい、と思ってきた。

景気浮揚のための臨時の対策で、金額も2万円ということで、政党間の協力体制を維持するための止むを得ない出費であるということから、批判の矛を収めたが、筋が悪いという思いは今でも変わらない。


子ども手当ては、定額給付金の悪いところを何倍にも膨らまし、かつ恒久的な措置として構想されていることから決定的な悪政になる、と今でも思っているが、在日外国人に対しての給付措置のあり方如何では、日本の国の在り方を大きく左右し、日本という国家の存立基盤を掘り崩していく一つの引き金にもなる、と危惧している。


子ども手当ては、少子化対策の一環だと考えられている。

しかし、子ども手当ての支給によって少子化の流れが大きく変わることは期待できない。

まず、日本の若者の就業環境が年々悪化しており、所得水準が低下していることを念頭におかなければならない。


一人の所得だけでは、家庭を支えられない時代になっている。

経済的に困窮を極めてきた時代と異なり、現在はある程度皆、豊な生活を享受している。

その生活を切り詰める、ということには簡単にいかない。

自分の伴侶になるべき相手を見つけ難くなっているという事情と相俟って、経済的な事情から結婚に躊躇し、あるいは子どもを産み育てることに消極的になっている若者が増えている、ということを考えておかなければならない。


子どもの養育費や保育費、教育費等の負担が大きく、家計を圧迫し自分達の生活水準を下げていかざるを得なくなる、という状況が変わらなければ、いくら子ども手当てを支給しても子どもは増えない。

少なくとも、日本人の家庭の子どもは増えない。


昔からある言葉だが、貧乏人の子沢山、と言われてきた。

食べることさえ出来ればいい、という生活状態であれば、そしてそういう生活状態に満足できるのであれば、結婚して子どもを産み育てることは自然の摂理だから、子どもの数は増えるであろう。

しかし、現在の日本の若者には、そういう貧しい時代に戻る用意はない。

子どもにはちゃんとした教育を与え、いい職場に就職し、安定した生活を送ってもらいたい。

そう願うはずだ。

一方、現在の自分達の生活の水準を落としたくもない。

女性がそう願うのも自然だ。

男性もそうだろう。


こういったすべての環境が変わらなければ、少子化の流れは簡単には食い止められない。


こういった時代背景の中で、内外無差別の原則を無条件、かつ杓子定規に当てはめ、日本人も在日外国人も同様に子ども手当ての支給対象にする、ということになったら、どういうことが起きるか。

在日外国人の家庭も千差万別だが、在日外国人の家庭の方がより子ども手当てが有効に機能し、また歓迎されるということになるのではないか。

増えるのは、在日外国人の子弟だけ、などということになってしまえば、子ども手当てはそもそも何のための制度なのか、誰のための制度なのか、ということになる。


さらに、子どもを虐待する親の存在がクローズアップされてきた。

自分で自分を護ることが出来ないのが、子どもである。

その虐待を有効に抑止することが出来ない現在の状態で、虐待をする親に対してしか子ども手当てを支給せざるを得ないというのは、如何にも不合理である。


家族の絆、夫婦の絆が弱まり、離婚する家庭も増えている。

凄まじい虐待・暴行事件がしばしば明るみに出るのは、再婚家庭。

継母、継父が配偶者の連れ子を虐待する、などという事件を見聞するにつれ、こういう家庭にも漫然と子ども手当てを支給するような制度は根本的に間違っている、と断ぜざるを得ない。


子ども手当ての支給を喉から手が出る思いで待っておられるご家庭も多いとは思うが、この制度は不合理で、国の財政を破綻に導くルーズな制度である。

今の国会の構成では、この制度の見直しは現実には容易ではないが、皆さんにはこの制度の問題点を正確に認識していただき、声を上げていただきたい。


決めるのは、皆さんである。