小沢氏が記者会見に応じた。
「昨年来、私の政治団体の問題で国民の皆様に誤解を与え、ご迷惑ご心配をおかけして申し訳ない。」と陳謝したそうだ。
如何にも低姿勢で、あの日頃の傲岸不遜振りが嘘のようにどこかに消えてしまったようだ。
しかし、よくよく聞くと、まだどこにも反省はない。
国民が誤解している、という開き直りが問題だ。
誤解しているというのならその誤解を解くために懇切丁寧に説明するのが普通なのに、捜査中の事件なので、とか、弁護士を通じて検察官には十分説明している、などと逃げを打っている。
およそ誠実さのかけらも見えない。
小沢氏の政治生命の生殺与奪の鍵を握っているのは、自由党時代に幹事長の職にあった藤井裕久前財務大臣、小沢氏が民主党の代表であった当時財務委員長を務めたと言われる山岡賢次国対委員長、民主党参議院議員会長の輿石東参議院議員、小沢氏の知恵袋と言われ、かつ小沢氏の政治団体の会計責任者を現在でも務めていると言われている平野貞夫元参議院議員、さらに、現在公判中の秘書の5人であろう。
この5人のうちの一人でも小沢氏に造反したら、小沢氏の鉄壁のガードも脆くも崩壊することになる。
藤井氏がどうやら小沢氏に見切りを付けたような雰囲気である。
自由党の解党時に残っていたはずの政治資金が幹事長の知らない間にどこかに消えてしまっていた、などと報道されている。
「俺、知らないんだよなあ。」
ツイッターでもあればそんな藤井氏の呟きが聞こえたかも知れないが、この問題の根は深い。
会社の解散を考えてみれば分かる。
どんな解散でも株主の意見を聞かないで解散することはあり得ない。
政党の場合もしかり。
所属国会議員に諮りもしない、財務内容の公表もしないで政党の解散手続きを強行し、残余財産は特定の個人が独り占め、などというケースを法律的にどう見るか。
会計責任者である幹事長が関与していないのであれば、業務上横領、背任の問題になり得る。
藤井氏の存在が如何に大きいか、ということを改めて認識すべきであろう。
山岡氏も今のところ小沢氏の側用人みたいなポジションにいるが、いつまでも小僧扱いしているとどこで牙を剥くかも分からない。
俺にだって意地はある。
そういう心境になったときに、これまで闇に包まれていたことの一端が見えてくるはずだ。
さらに、日教組を小沢氏が切らなければならない状況に追い込まれたときに、輿石東氏がどう動くか。
参議院では、何と言っても組合を無視することは出来ない。
日教組の言いなりに動くだろうから、この線からの造反は考え難い。
平野貞夫氏は知恵袋だから、小沢氏と袂を分かつことはないだろう。
問題は、小沢氏の秘書軍団だ。
いつまでも秘書がボスの尻拭いをするとは限らない。
秘書だけが罪に問われ、本人はのうのうと暮らしている、という姿に、どこまで今の若い人達が堪えられるか。
家族を含めて秘書の生活を丸抱え、という無理はいつまでも続くものではない。
一番弱い環なのかも知れない。
検察が現在一番弱い環をターゲットにしていることは、明らかだ。
これらの人以外にも小沢氏の生殺与奪を握っている人は、案外多いかも知れない。
こんな状況で小沢氏が総理になることなど、私には考えられない。
「連日批判を受けている身だから首相になる資格はない。そのつもりもない。」
小沢氏が記者会見でそう語ったのは、自然である。