世界が驚喜するような結果だった。
若者の勝利であり、人種・民族・宗教等の対立を克服して、世界全体の融和と平和を求める人々の勝利である。
もはや肌の色で人を差別する時代ではない。
ロンドンで、パリで、ケニアで、東京で、世界の人々がオバマ氏の当選を心から祝福した、ということで、世界が一変したことが分かる。
オバマ氏は、自らの存在で世界を統合できる。
ケニア人の父親とアメリカ人の母親のカップルから誕生し、ハワイで育ち、母親の再婚に伴いインドネシアで少年期を過ごし、ハーバードで学んだ、という経歴自体で、オバマ氏が脱アメリカ的存在であることが分かる。
アフリカにもアジアにも親近感を有するアメリカの大統領。
パウエルが涙を流して歓喜するのは、当然だ。
オバマが世界の融和を説けば、誰も異議を述べない。
オバマが人種対立の克服を説けば、肯かない者はいない。
オバマが格差の是正を訴えれば、皆、当然だと思う。
オバマが、みんなに平等にチャンスがあると訴えれば、皆そうだと思う。
オバマが、努力すれば必ず道が開けると言えば、皆そうだ、そうだ、と呼応する。
Yes, We Can !
自らの行動で、そう人に信じさせることが出来る。
そういう政治家がアメリカに誕生したことを喜びたい。
しかし、この興奮は長続きしない。
ロシアの動きがおかしい。
大統領の任期を4年から6年に延長するための憲法改正を検討しているようだ。
アメリカとNATOの東欧へのミサイル配備計画に対抗して独自のミサイル網を構築しようとしているようだ。
アメリカの経済危機もさらに深刻化しそうだ。
大統領選挙直後のニューヨーク株式市場のダウ平均が急落し、9139. 27ドルになっている。
「祭りは終わった。今後発表される経済指標は、いずれも厳しい内容となるだろう。オバマ政権は嵐のただ中への船出を余儀なくされる。」(ニューヨーク共同で引用されている、アメリカ市場のアナリストの発言)
私も、そう思っている。
アメリカはアメリカ。
私たちは、日本が直面している現在の危機を直視し、ぐっと腰を落としてこの困難に対処していかなければならない。
(ところで、オバマの誕生を心から祝福しても、オバマのポスターを政党の事務所に掲げててはしゃいでいるような無邪気な、しかし愚かしい姿を晒すようなことはしない方がいい、と思うが、皆さんはどう思われるか。)