政治家を育てる | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

色々な本を頂戴する。


自分で買った本も全部には目を通せないうちに次の本を手にするような毎日だ。

じっくりと読み通したいのだが、取り急ぎお礼状だけでも出しておきたい、と思って、ほんの数ページ目を通しただけで後は積ん読、ということになる。


数週間、時には数ヶ月経ってもう一度頂いた本に目を通す。

確かにこれは読んでおいた方がいい本だった、そう思うことがしばしばある。


政治家の本もなかなか読み応えがあるものが多い。

中身をよく読まないでとりあえず礼状は出したものの、やはり精読した後に礼状を出すべきだったか、と反省する。

今、手にしているのが、柳本卓治衆議院議員から送られてきた「『中曽根康弘』語録ー哲人政治家の素顔」(産経新聞出版)であるが、実に読みやすく、内容も充実している。


新書本はびっしりと活字が並んでいるため、読んでいて目が疲れ、頭に残るものが少ないが、この本は宗教本と同じで行間がたっぷり取ってあり、活字も大きい。

人を説得するためには、こんな感じがいいのかな、と思うような本の作り方である。

行間を読ませるための工夫がしてある。


中曽根康弘氏の著書から片言隻語を引用しながら、自分独自の思いを語る。

自分なりの解釈と独自のデーターを交えているのがいい。

これなら私たちにも出来る作業である。


誰かの業績を辿りながら、自分自身の思索を深めていく。

こうすることによって、思慮深い政治家が誕生していく。

これが古来からの日本の教育だったろう。


論語を読み、四書五経に進む。

哲理を探りながら、現在の政治状況に故人の知恵を当てはめてみる。

そうすることによって、新たな知恵を獲得する。


今は、そういうプロセスが欠けている。


「憲政の常道を歩み続けた哲人政治家・中曽根康弘ー愛弟子がつづった中曽根康弘の真髄!」と本の帯にある。

哲人政治家とまでは思わないが、確かに群を抜いた政治家である。

私たちよりはるかに知恵も胆力もある。


愛弟子を自称する後進の政治家がいる。

それだけで、中曽根氏の存在の大きさが分かる。


中曽根氏の青雲塾に匹敵する政治塾は、今はない。

それでも、一人でも多くの政治家が、これからの切磋琢磨を通じて中曽根氏を超える政治家に育っていくことを私は心から期待している。

残念ながら、小沢一郎氏の一新塾は、人を育てそうにない。