これで良いのか、日本の国防! | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

これで良いのか、日本の国防!
-世界各国はこんなに努力している-

会館に来て、山積みになっている書類の山から一冊の冊子が出てきた。

月間財界人という雑誌だ。

時々インサイダー情報らしいものがあり、政界裏話を読む感覚でさっと目を通す。


森野軍事研究所 矢野義昭という方の論稿が目に留まった。

これで良いのか、日本の国防、という表題がまず気にかかった。


内容に目を通して、改めてこの論文が重大なことを指摘していることに気がついた。

私たちは自分たちがどんなに危険な状況に置かれているのか、ほとんど知らない。

自分たちの現在の生活がこれからもずっと続くように思い込んでいる。


どんなに危険を叫んでも、聞く耳がない。


聞きたくないから耳を塞ぐ。

見たくないから目を瞑る。

考えたくないから考えない。


矢野さんという方がどんな経歴の人か知らない。

ひょっとして防衛省のOBかな、と思いながら、たまにはこういう情報も皆さんにお知らせする必要があるな、と思い、要旨を紹介させていただく。

真偽の程は皆さんご自身で確認していただきたい。


① 『ミリタリーバランス2007』によれば、北朝鮮の軍事力は、人口2311万人に対し正規軍が110万6千人(内陸軍95万人、海軍4万6千人、空軍11万人)さらに準軍隊が18万9千人、予備軍は軍470万人、準軍隊は350万人、計820万人に上っている。


② 軍事費は、50億ウォン、23億ドルとみられている。

2006年の世界銀行の統計によれば、一人当たりの国民所得は、細部不明だが825ドル以下と推定されている。
高めにみて800ドルとしても国民総所得は185億ドルに過ぎず、軍事費支出の対GDP比率は12.4%にも達する。

世界最高の比率であり、世界平均2.64%の4.7倍に上る。


③ また、兵員の人口比率についても、世界全体では人口66億1590万人に対し、正規軍総数が1980万人、0.30%であるのに対し、北朝鮮は4.79%であり、世界平均の16倍に達する。

さらに軍予備兵に至っては世界で5001万6千人、0.756%であるのに対し、北朝鮮は20.3であり、実に27倍の比率。


④ 因みに日本は、防衛費の対GDP比率は1.0%、兵員は現役が24万人、予備兵に相当する予備自衛官が4万2千人に過ぎず、全人口1億2746万人に対する比率はそれぞれ0.19%0.033%である。

世界平均と比べ現役は0.63倍、予備兵は0.044倍に過ぎない。

予備兵は無きに等しいと言えよう。

北朝鮮は日本に比べ、国民一人当たり軍事費比率は12.4倍、全人口に対する正規軍比率は25.2倍、予備兵比率は615倍にも達する。


⑤ 亡命者の証言などによれば、北朝鮮では約20万人の政治犯が強制収容所に収監され、強制労働と虐待の中、ミミズや牛の糞の中のトウモロコシのくずを食べて命をつないでいる。
 95年から96年にかけては、配給が途絶え洪水被害も重なり、毎日雑草を煮て食べる惨状となり、全国で約300万人が餓死したとみられている。


⑥ 陸軍は5年から12年、海軍は5年から10年、空軍は3年から4年の兵役を課し、その後40歳まで労農赤衛隊に所属することを義務付けている。

また、国民は出身成分に基づき「核心階層」、「動揺階層」、「敵対階層」の三階層、51分類に区分され、全国民の約三分の一に相当する敵対階層は、優秀でも大学に行けず、まともな職業にも就けないという差別的扱いを受けている。


⑦ 他方で約5万人、家族などを含め数十万人の特権階層が存在し、その多くが近年の闇経済公認、自由市場の導入により、中国などから入る物資を手に入れて豊かな消費生活を楽しめるようになっている。
 援助米なども特権階層に優先的に配分され、その一部が高値で横流しされ、新たな利権と化している。


⑧ 北朝鮮では格差が拡大し特権階層の腐敗堕落も進行している。
 もともと朝鮮半島北部は鉱物資源、水力発電能力などに恵まれ、日本の統治時代には重化学工業が発展し、半島南部に比べ豊かであった。
 ソ連に傀儡政権の指導者として連れてこられた金日成は、反対勢力を粛清し独裁体制を造り上げたが、62年、「四大軍事路線」をとり軍備拡張に乗り出した。

当時国力はまだ全般に北が優勢であったが、韓国は70年代からセマウル運動などを契機に経済成長路線に乗り、南北経済格差は拡大していく。


⑨ それでも80年代初めまでは北朝鮮は、中ソの競合関係を巧みに利用して両国から交互に援助を引き出し、軍備拡張と民生をなんとか両立させることができた。
 しかし、中国で改革開放が本格化し、ゴルバチョフ政権が登場する80年代中ごろになると、中ソ両国との関係は冷却化し、次第に孤立感を深めるようになった。


⑩ そのころから核とミサイルの開発が本格化している。

北朝鮮の存続を根底から脅かす決定的打撃となったのが、90年代初めのソ連、中国の韓国との国交正常化とソ連東欧体制の崩壊であった。

中露両国からの援助は急減し、石油、電力、米の確保すら困難となり国家存立の危機に至った。

この窮境の中で金父子は、核ミサイルを開発配備して米韓の軍事攻撃を抑止しつつ、瀬戸際外交に訴えて米国と直接交渉を行い、援助を引き出して体制の存続を確保するという起死回生策に出たのである。


⑪ 89年頃から寧辺での核兵器開発疑惑が国際的に注目を集めるようになり、北への核疑惑への対応が国際社会の重要課題となった。

北朝鮮は、寧辺への国際原子力機関の査察を拒否し、核不拡散条約からの脱退を宣言するなど瀬戸際政策をとり続けた。


⑫ 緊張が最高度に高まった94年6月、カーター・金日成トップ会談が行われ、北朝鮮が寧辺の核施設の稼働を中止し最終的に廃棄することを条件に、米国などが軽水炉建設を支援し、重油を毎年供給するとの枠組みに原則的に合意した。

これで危機は回避されたかにみえた。


⑬ しかし北朝鮮は、その裏でパキスタンとの間でウラン濃縮技術の導入を進めていたことが、近年のパキスタン側の証言で明らかになっている。

また、プルトニウム型核爆弾とミサイルの開発も密かに進められた。

その成果が06年7月のミサイル連続発射と10月の核実験として結実し、世界を震撼させたことは記憶に新しい。

核実験について一部には失敗とする見方もあるが、プルトニウムの核分裂反応により生ずる特有のガスが確認されており、核爆発があったことは間違いない。


⑭ ミサイル連続発射の主な狙いは、日米間で進められているミサイル防衛システムを突破する能力があることを誇示することにあったとみられる。

特に、射程1300キロメートルの日本のほぼ全土を攻撃できるノドン・ミサイルは約200基がすでに配備されており、その一部には核弾頭が搭載可能になっている可能性は否定できない。

発射に失敗したとみられるテポドンも開発が継続されているとみられ、CIAは5年程度で米国に到達する大陸間弾道弾(ICBM)が配備可能になると予測している。


⑮ 北朝鮮軍の実力については、種々の見方がある。

軍も食糧や燃料の慢性的不足に悩まされており、パイロットなどの訓練時間が不十分と伝えられている。

また、航空機、戦車なども老朽化し稼働率も低い。


⑯ しかし、大韓航空機を爆破し、その後逮捕された金賢姫は、毎夜一日も休むことなく5キロの山道を完全武装で走破するなど、特殊工作員として過酷な訓練を重ねたことを証言。
 北朝鮮軍のゲンコツはやせ細っているが、その威力は強く、決して侮ってはならないとも述べている。

中でも8万8千人にも上る特殊部隊は精鋭とされ、核ミサイルと並び最も重視されている。

特殊部隊は指揮系統上、党と軍の二系統に分かれ、日本などに新党し戦略的任務達成するレベルから第一線部隊と連携して行動する戦術レベルまで各種の部隊が存在する。


⑰ 今や米朝会談も進展し、末期に入ったブッシュ政権は、北朝鮮をテロ支援国家のリストから解除することを決定し交渉を進めている。

現在休戦状態にある米朝は平和条約を締結することになるかもしれない。


⑱ 朝鮮半島情勢の急変に備え、日本も相応の防衛努力を行わなければならない時に来ている。


月間財界人は、決してメジャーな雑誌ではないが、こういう記事が載っているとすれば無視できない存在だ。


国民の安全・安心を守ることの第一は、いかにしてこういった危険な国と深刻な紛争状態にならないよう備えるか、ということである。

まずは、気になる情報をお知らせする。